
【M.モゥブレィ】デリケートクリームの使い方を靴磨き歴7年の私が徹底解説!

- M.モゥブレィのクリームをよく見るけど買った方がいいの?
- デリケートクリームって何?
- 靴クリームとの違いを知りたい
革靴を手入れする道具を調べていると靴クリームの他に『デリケートクリーム』という名前のクリームを見かけるがあると思います。
靴クリームとの違いもイマイチ良く分からない上に、「購入した方がいいのかどうか」迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?。

デリケートクリームは無くても問題ありませんが、1つ持っておくと幅広い手入れが行えるようになる素晴らしいクリームです。
その中でも特におすすめしたい商品がM.モゥブレィの「デリケートクリーム」です。
今回はM.モゥブレィのデリケートクリームの魅力と使用時の注意点について画像付きで詳しく紹介します。
- デリケートクリームの特徴
- 靴クリームとの違い
- 使用時の注意点と使い方
デリケートクリームは革靴の中でも繊細な素材や、靴以外の革製品にも使用する事ができる汎用性の高いクリームです。
手入れに必須の道具ではありませんが、予算に余裕があれば揃えておきたい道具です。
デリケートクリームの魅力について分かりやすく紹介しますので是非、最後までご覧ください。
M.モゥブレィってどんなブランド?


M.モゥブレィってどんなブランドなの?
「M.モウブレィ」とは革靴愛好家の方なら一度は耳にした事がある定番のブランド。
デリケートクリームの他にも「スティンリムーバー」という水性クリーナーが有名で靴磨きの道具を集める際に必ず目にする商品です。
2002年に前身のブランドが消滅しましたが、シューケアグッズを扱うR&Dが復活させオリジナルブランド「M.MOWBRAY(エム・モゥブレイ)」として今日に至ります。
シューケアグッズの製造方法は大型機械による大量生産が主流です。
そんな中でM.モゥブレイの商品は熟練の職人によるハンドメイド的製法を採用し、ヨーロッパの伝統製法と品質を継承しています。

革に負担の少ない商品が豊富に取り扱われていて、靴磨きを始める方におすすめしたいブランドの1つです!
中でも今回紹介する「デリケートクリーム」は累計で130万個製造した定番中の定番の商品。
「デリケートクリームといえばM.モゥブレイ」と答える人も多いです。
革製品にも使える!?デリケートクリームの特徴


そもそもデリケートクリームってどんなクリームなの?
デリケートクリームとは潤いの補給に特化した保湿性能に優れたクリームの事です。
クリームに含まれる水分の量が多いので非常に柔らかく伸びがいいのが特徴。


とろっとしたクリームでムラなく塗れるので、靴磨きを始めた方にも扱いやすいです。
油分が少なく蝋分が含まれていないので塗った後の靴表面のべた付きは殆どなく、マットな質感に仕上がります。

M.モゥブレィのデリケートクリームは断トツの人気

中でもM.モゥブレイのデリケートクリームは断トツの人気を誇ります。
商品名 | デリケートクリーム |
ブランド | M.モゥブレィ |
価格 | 1,000円 / 2,500円 / 6,000円 |
容量 | 60ml / 200ml / 500ml |
色 | ニュートラル ・ ブラック |
成分 | ラノリン ・ 油脂 ・ 有機溶剤 |
種類 | 乳化性 |
カラーバリエーションはデリケートクリームとしては珍しくニュートラル・ブラックの2色が販売されています。
人気の高い商品なので容量も60ml・200ml・500mlと3種類のバリエーションが展開。

ポンプで取り出す事の出来るタイプの商品もあります。

そもそも革にはなぜ潤いの補給が必要なの?
その理由についてM.モゥブレイの公式HPで公開されていたので紹介させていただきます。
人間の肌も乾燥すると肌荒れやあかぎれが起こるように、もとは生き物の皮膚だった革もひび割れを起こします。
生きている私たちの皮膚であれば、細胞の働きによって傷が入ってしまっても自然に治ってくれます。しかし、細胞の働きが無い皮革製品は一度ひび割れを起こしてしまうと治ることはありません。
だから、『レザークリームを使った定期的なケア(お手入れ)』、つまり乾燥を防ぐための保湿が必要なのです。
出典:M.Mowbray

定期的にクリームを入れてあげて潤いを補給してあげないと、取り返しのつかない事になっちゃうんだね・・・。
特に潤いの補給に優れたデリケートクリームは理にかなったクリームだと言えますね。
靴クリームよりも油分の量が少なく靴トラブルが起きにくいので、靴以外の幅広いレザーアイテムに使用する事ができます。

ただし、使用できない素材も指定されているので注意しましょう。
- 起毛素材の靴(スエード・ヌバック)
- エナメル
- 爬虫類
【M.モゥブレィ】デリケートクリームの成分

M.モゥブレイの成分は次の3種類で構成されています。
- 油脂
- 有機溶剤
- ラノリン
革の栄養源になる「油脂」と、使用されている成分を混ぜ合わせる為の「有機溶剤」。
革を柔らかくする働きのある「ラノリン」が使用されています。
羊の皮脂腺から分泌される油脂を精製して作られた成分で、「油分」に分類されます。
自重の倍の量の水分を含む事ができ、高い保湿力と革を柔らかくする働きが期待できます。
革は水分を含むと柔らかくなり膨らみます。
水分が揮発してしまってもラノリンが革に浸透する事で、柔らかさと潤いをキープする事ができます。

デリケートクリームを使うと革が柔らかくなるって聞くけど、「ラノリン」の働きが大きかったんだね!
ラノリンも油分ですが、デリケートクリームと靴クリームと比較すると油分の量が非常に少ないという特徴があります。
革に油分は必要なのですが、紫外線で酸化する事でシミの原因になります。
水分よりも革への浸透が速いので乾燥した靴に塗り過ぎてしまった場合、あっという間に浸透してシミになってしまう事も・・・。

その点デリケートクリームはこれらの条件をクリアしているので、シミになりにくいです。
繊細な素材の手入れに優先して使用する事が推奨されています。
デリケートクリームにも「有機溶剤」が使用されていますが、靴クリームやワックスのような鼻をつくような溶剤の臭いはしないので使用量は少ないと考えられます。

使われている成分も革に負担の少ないように考えられているんだね!
まさにデリケートクリーム!
デリケートクリームと靴クリームの違い


普段、革靴の手入れって靴クリームを使ってるんだけど、デリケートクリームを使った方がいいの?
靴の手入れの際に使うクリームは『デリケートクリーム』でも、『靴クリーム』でもどちらでもOKです。
どちらの靴クリームでも栄養の補給を行う事が出来るので、どっちで手入れを行っても問題はありません、

靴の状態によってはデリケートクリームと、靴クリームの2つのクリームを併用する事もあります。
ここでは2つのクリームの大きく異なる点について2点紹介します。
- 蝋分の有無
- 使える素材
順番に解説していきます。
① 蝋分の有無

靴クリームとデリケートクリームの大きな違いは『蝋分がクリームに含まれているかどうか』です。
靴クリーム | 蝋分 ・ 油脂 ・ 有機溶剤 |
デリケートクリーム | ラノリン ・ 油脂 ・ 有機溶剤 |
靴クリームによって細かい成分や使用量は異なりますが、基本的に靴クリームは「蝋分・油脂・有機溶剤」を主成分として構成されています。
一方のデリケートクリームには蝋分が含まれておらず「ラノリン・油脂・有機溶剤」で構成されています。

ラノリンは革を柔らかくしたり、乾燥から守る働きがあるんだったよね!
靴クリームには艶を出す為の蝋分が含まれており栄養補給を行いながら、見た目を良くするという目的があります。
一方でデリケートクリームは蝋分が含まれていない代わりに、より保湿力を高めたり保革を目的とした成分で構成されています。

大雑把に分けると「見た目を求めるか」、「保革に特化するか」といったイメージですね!
② 使える素材

靴クリームとデリケートクリームでは使用できる素材が異なります。
デリケートクリーム | 靴クリーム |
革靴 財布 キーケース バッグ 等 | 革靴 |
靴クリームは名前の通り基本的には革靴専用のクリームとなります。
靴クリームは他のレザーケア用のクリームと比較すると蝋分が多く含まれていたり色付きのクリームが展開されているので少しだけ趣旨が異なります。

言われてみればお財布やキーケースみたいな革製品に艶を出すってイメージはあまりないよね。

色付きのクリームを使うと色移りの原因になります。
身に着けた小物や服と触れる事がない靴だからこそのクリームって事ですね。
一方のデリケートクリームは保革に特化したクリームなので、注意事項で紹介されている素材以外の革には何でも使う事ができます。
同じ素材の革で状態が悪いものにも問題なく使用する事ができます。
靴クリームでの手入れに躊躇してしまう次のような素材の靴の手入れにも使えます。
- ヌメ革
- アニリンカーフ
- ペッカリー
- オーストリッチ
靴クリームは靴の手入れに特化したクリームなので基本的には靴の手入れは靴クリームを使えばOKです。
ただ、デリケートクリームを持っておくと革の状態が良くない靴の手入れや、幅広い素材の手入れに使えるのでより様々な靴に対応できます。

デリケートクリームを1つ持っておくと守備範囲も広がりますし、革製品全般に使えるので是非、揃えておきたい道具と言えますね!

デリケートクリームはどんな時に使う?

デリケートクリームを使用するおすすめのタイミングは4つあります。
- プレメンテナンスを行う時
- 雨に濡れた後 & メンテナンスをしていない靴の手入れの時
- 靴の内側が痛い時
- 艶を出したくない靴を手入れする時
①と②に共通している事が「靴の状態があまり良くない」という事。
プレメンテナンス、雨に濡れた後、メンテナンスをしていない靴を手入れする時は靴が乾燥していること想定して手入れを行います。

乾燥している靴のお手入れをするなら、デリケートクリームはうってつけだね!
③の「靴の内側が痛い時」というのは新品の靴を下ろした時などが挙げられます。
ラノリンによって革が柔らかくなるので、靴の内側(ライニング)にデリケートクリームを塗ると痛みを和らげる事ができます。
また、デリケートクリームは蝋分が含まれていないので、アウトドアシューズや艶を出したくない靴の手入れをする際に最適です。
デリケートクリーム使うタイミング


デリケートクリームって靴磨きのどんなタイミングで使えばいいの?
デリケートクリームは馬毛ブラシや、クリーナーで靴の表面の汚れを落とした後に使用しましょう。
- 馬毛ブラシでブラッシング
- クリーナーで汚れ落とし
- デリケートクリーム
- 豚毛ブラシでブラッシング
- 余分なクリームを拭き取る
「靴クリームを使うタイミングで使用する」と覚えておくと覚えやすいですね。
靴磨きの詳しい手順に関してはこちらのブログで紹介しておりますので、併せてご覧ください。

デリケートクリームを使って手入れをしてみよう!

実際にデリケートクリームを使って手入れをしていきましょう。
今回はパラブーツのシャンボード(ブラック)の手入れに使用していきます。

非常に柔らかいので軽く指をのせるだけで、指先にクリームが付着してくれるので適量を取りましょう。

とりすぎてしまった場合は容器の縁などを利用して調整します!
靴トラブルが起こりにくいとされていますが、いきなり大量のクリームをのせてしまうのはNG。
サイド・カカトなど目立たない部分で試してから全体に塗り広げましょう。
塗る際にはムラにならないように全体に薄く塗り広げ、足りなくなったらその都度少量のデリケートクリームを補充します。

履きシワの部分はダメージが大きいから入念にデリケートクリームを塗ってね!
全体に塗り終えたら豚毛ブラシで全体をブラッシングを行います。
布で表面を乾拭きして余分なデリケートクリームを拭き取れば完成です。
こちらが磨く前と後を比較した物です。

左側がデリケートクリームで手入れをした靴で右側が手入れを行う前の靴です。
左側のデリケートクリームを塗った靴の方が潤いと栄養が補給されて、全体的に色が濃くなっている事が分かります。
右側の手入れ前の靴は所々濃淡にバラつきがあり、遠目からみてもムラ感があるのが分かります。
もう少しアップで見比べてみましょう。

つま先部分をアップした画像です。
ぎらつくような強い光沢感はありませんが、しっとりとした仕上がりに。
デリケートクリームを塗った靴の方が革本来の艶が戻り自然な風合いに仕上がっています。

写真右側の手入れ前の靴は、革の表面が乾燥しカサカサしているのが分かります。
手入れ前は左右共に同じくらいの小傷が入っていましたがデリケートクリームを塗った方の靴は傷が目立ちにくくなっていました。
傷が消えたというよりも栄養補給をした事で乾燥していた履きジワや小傷がついて色が剥げてしまった部分の革の色が濃くなって目立たなくなったという印象です。

傷自体が消えるって訳じゃないけど目立ちにくくなる事で、見た目の印象もグッと変わってくるね!

今回はデリケートクリームのみで仕上げました。
これで手入れ終われせてもOKです。
更に補色をしたい場合や艶を出したい場合はこの後に追加で靴クリームやワックスを使用して仕上げるとより光沢のある仕上がりになります。
詳しい手入れ手方法についてはこちらのブログをご覧ください。

ライニングにデリケートクリームを塗る

アッパーに塗る以外に『ライニング』に塗り込むのもおすすめです。
デリケートクリームには革を柔らかくする「ラノリン」が使用されていると紹介しましたり
ラノリンの働きで革が柔らかくなるので足が当たって痛い部分に塗ると痛みを軽減する事ができます。

次の様なところに塗るのがおすすめです。
- 靴擦れが酷い箇所
- 骨が当たって痛い部分
ライニングは直接足に触れる部分なので、油分が少なくベタつかないデリケートクリームが最適です。

ミンクオイルも革を柔らかくする働きがあるけど・・・。
ライニングに塗ったらベタついちゃうから履き心地に影響しちゃうもんね。
デリケートクリームをアッパーに塗る時は全体にムラが内容に薄く塗り広げました。
しかし、ライニングに塗る時はアッパーの時とは違い、革にデリケートクリームを押し込むように1点に集中して塗り込んでいきます。

指先が白くなるくらいの力加減で塗り込みましょう。

塗り終わった後、余分なクリームを拭き取れば完了です。

デリケートクリームを塗るタイミングは履く直前がベストです。
靴を履く直前にデリケートクリームを塗るのが難しいなら、前日の夜に塗るのがおすすめです。
塗り過ぎはNG?デリケートクリームの注意点

皮革に負担のないとされるデリケートクリームですが、使用する際に気をつける点があります。
- 塗り過ぎはNG
- 表面のコーティングが無い
順番に解説していきます。
①塗り過ぎはNG
他のクリームと同様に塗り過ぎないように注意が必要です。
大量のクリームをのせても革が吸収できるクリームの量には限度があるので、無駄になってしまいます。
塗り過ぎて表面にデリケートクリームが残ったままになると、白く固まって表面に残ってしまいます。

色の濃い靴だと悪目立ちしてしまいます。
塗ったクリームが表面に残っていると細菌の栄養源になりカビの原因になります。
こうした靴トラブルを防ぐ為にも少量ずつ塗り込み、塗り過ぎないように注意が必要です。
②表面にコーティングが無い
デリケートクリームは蝋分が含まれていないので靴の表面を保護する成分がありません。

靴クリームに蝋分が含まれているのには次の役割があるからです。
- 艶出し
- 水濡れから靴を守る
- 傷から靴を守る
鏡面磨きをした靴でつま先部分に傷が入ってもワックスを落としてみたら革自体は無傷だったという経験はありませんか?
これは厚塗りしたワックスの層で傷を受け止めてくれていて靴本体まで傷が届いていないからです。
なので、ワックスを落とすと靴は無傷という訳なんですね。

デリケートクリームだけで仕上げると、靴を守ってくれる膜が無いって事かぁ。
水濡れに関してもワックスでコーティングしていない場合は水が染み込んでしまいます。

水濡れに弱い靴は特に気をつける必要がありますね。
まとめ
今回はⅯ.モゥブレィのデリケートクリームについて紹介しました。
伸びもよく、ムラになりにくいので靴磨きを始めたばかりの方でも扱いやすく幅広い革製品に使う事ができるので1つ持っておけば重宝するクリームだと思います。

M.モゥブレィは知名度もあり取り扱い店舗も多いので、入手しやすいのもおすすめできるポイント。
デリケートクリームを買うならまず候補に挙がる商品だと断言できます。
靴磨きの幅が広がるクリームなので是非、手に入れてみて下さい。
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