
仕上がりをワンランク上げるコバインキとは?使い方や代用品を徹底解説!

トシ
- 靴を綺麗に磨いたのになぜか綺麗に見えない
- 靴の側面部分は手入れをした方がいいの?
- ワンランク上の仕上がりになる方法を教えてほしい!
靴のメンテナンスを繰り返していくと、手入れを始めた当初よりも技術が上がり綺麗に仕上げる事ができるようになります。鏡面磨きが出来るようになったりメンテナンスの時間が最初の頃よりも短くなったりと様々な点で実感できると思います。
しかし、仕上がった靴を見ると「なんだか物足りないなぁ」と感じる事がありませんか?
実際に自分もこのような経験をしたことがあり悩んでいた時がありました。
そんな方におすすめの方法が「コバの手入れ」です。
今回は数あるコバの手入れ道具の中から「コバインキ」を使った手入れ方法を紹介させて頂きます。
このブログをご覧いただければ以下の内容がご理解頂けます。
- コバとはどこの部分なのか?
- おすすめの道具と代用品
- コバの手入れ方法
コバの手入れを行う事で仕上がりに統一感が生まれて靴が新品の様に甦りますので、まだ手入れをした事がないという方は是非、チャレンジしてみて下さい。
コバインキとは?
まずは「コバ」と呼ばれるパーツが革靴のどの部分に当たるのかを見ていきましょう。


上の画像で斜線が引いてある部分が「コバ」と呼ばれる部分です。アウトソールやヒール部分の側面の事を指します。
革靴のソール(靴底)の素材によってコバの部分もゴムだったり、革だったりと違いがあります。
コバはソールと同様に地面に直接接する部分になるので、何気なく歩いているだけでも傷がついたり削れてしまう可能性があります。
傷や削れが原因で表面が凸凹してしまったり、部分的に色が剥げてしまうので靴の表面部分(アッパー)を綺麗にメンテナンスしたとしてもコバが傷だらけだと全体で見た時にちぐはぐした印象に仕上がってしまいます。
コバの手入れに関してはやらなくてもアッパーほど目立たないので省略して紹介しているサイトや書籍も多いですがコバの手入れをメンテナンスの手順に導入する事をおすすめします。
コバの手入れはそれほど難しい工程ではありませんし、時間も慣れてくれば両足で5分もかからずに完了します。
コバの手入れ道具


コバの側面を補色する方法は主に4種類あります。
- コバインキ
- 靴クリーム
- エッヂクレヨン
- ペン(コバインク)
1.コバインキ


今回のケアでも使用する「コバインキ」です。「エッヂカラー」と紹介されている場合もあります。
靴磨き職人や革靴の愛好家の方も愛用されていてコバの手入れの定番中の定番のアイテムです。
キャップを外すとスポンジが付いているのでキャップを持ち手にしてそのまま塗り込む事ができます。


染色力が強いので塗るだけで綺麗に色をのせる事ができ、非常に綺麗に仕上げる事ができます。
ただし、インクの残量が多いとスポンジがひたひたになっているので、塗る前に余分なインクを落とさないと液だれの原因になり、床などにインクがついてしまうと綺麗に落とすのが大変なので扱いには注意が必要です。
カラー自体は靴クリームやワックスの様に多くはなく、「黒系、茶系、無色」の3種類で展開されています。
コバインキは「レザーソール(革底)」用と「合成革」用のコバインキが展開されています。
レザーソール用のコバインキは合成革のコバインキと比較すると着色力が弱いので、合成革のメンテナンスで使うと色が落ちてしまうみたいですね。
これからコバインキの購入を検討されている方は、自分の靴のコバの素材に合わせて買うくらいの感覚でOKだと思います。
2.靴クリーム
あまり紹介されていませんが、靴クリームでもコバの手入れを行う事ができます。
レザーソールの場合はコバも革で出来ているのでアッパーと同様に靴クリームでも補色や栄養補給を行う必要があると考えています。
使用する靴クリームは「アーティストパレット」や、「クレム1925」などの油性の靴クリームがおすすめです。
アーティストパレットはコロンブスから販売されている靴クリームです。
顔料ベースの為、色が表面に残ってくれるのでコバを補色する作業に非常に相性がいいです。
クレム1925はサフィールノワールの定番中の定番の靴クリームです。
染料ベースのクリームですが着色力が強く、色が定着してくれるのでおすすめです。 chat face=”icon_business_man01.png” name=”トシ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=”maru”]Y’s shoeshineの杉村さんもコバの手入れの際にはクレム1925を使用される事があるそうです。(動画8:00~)[/chat]
乳化性のクリームだと色が乗りにくく、色落ちした部分が補色できない場合が多いので靴クリームでのケアを考えている方は油性のクリームを使うようにしましょう!
油性の靴クリームと乳化性の靴クリームの違いについてはこちらのブログで紹介しておりますので併せてご覧ください。


エッヂクレヨンクレヨン
油脂やロウ、染料・顔料をスティック状に固めたコバの補修剤です。
最大の特徴は扱いやすさです。
扱い慣れたペンの形状をしているので非常に使いにくく塗っていても液だれや気泡などの心配が不要なので「コバインキを使うのが苦手」と感じている方にはおすすめの道具です。
クレヨン自体は非常に固く、固いワックスを塗り込む印象です。
コバインキはコバ面があれている場合はやすりを使用して整える必要がありますが、クレヨンの場合は押し当てる事でそのままコバを整えてくれるのでこれらの作業も同時にこなしてくれるのも嬉しいポイントです。
コバインキと比較した液体のコバインキの方が塗り広げやすい代わりに事前にやすりがけをしたり、ワックスでコーティングする必要があります。
クレヨンは固いワックスを塗り広げる感覚に近く、塗りにくさや塗り斑ができやすいと感じましたがコバ全体に塗った後は布で乾拭きするだけで綺麗な艶が出るのでこれ1つで作業が完結するという点がメリットでしょう。
ペン(コバインク)
最後に紹介するのがペンタイプのコバインキです。
ポジション的にはコバインキとクレヨンのいいとこ取りをしたような商品です。
ペンなのでクレヨンタイプの様に持ちやすく扱いやすいです。塗り込む事でインクが出てくるのでコバインキの様に簡単に塗り広げる事ができます。
購入した方のレビューを見てみると高評価が多いです。
- 太いマジックみたいで非常に塗りやすい!
- 手軽にサッと綺麗に塗れる!
- 使いやすくて手も汚れない!
反対にこの様な意見も挙げられていました。
- 使う頻度を考えると割高感がある
- すぐに無くなりそう・・・
コバインキは70mlで\800(+ tax)ですが、ペンタイプの物は30mlで\1,200(+ tax)となります。
ペンタイプの物はコバインキの様に使う前に余分なインクを落としたりする手間がないので使いたい時にすぐに使えるというのは非常に大きなメリットだと思います。
コバインキは使用頻度や使う量もワックスや靴クリームと比較すると少量で済みます。
自分の様に定期的に靴クリームと組み合わせる事で更に消費を抑える事が出来るのでコスパよりも扱いやすさ&手間を取るという方におすすめの商品だと言えます。
コバインキを使用してコバを手入れしよう!


次にコバインキを使用して実際にコバを手入れしていきましょう。
コバの手入れの手順は以下の通りに行います。
コバの手入れの手順
- STEP1 やすりがけ
- STEP2 コバインキを塗る
- STEP3 乾燥させる
- STEP4 ワックスを塗る
- STEP5 布で磨く
使う道具は以下の道具です。


使用する道具
- やすり #240
- コバインキ
- ワックス
- 布
- 水
- マスキングテープ
コバの手入れを行うタイミングは特に決まりはありませんが、自分はアッパーのケアを行う前に行うようにしています。
アッパーのケアの手順についてはこちらのブログで紹介していますので併せてチェックしてみて下さい。


コバやソールは地面に直接触れる為、小さな塵や砂などが付着している可能性が高く手入れをしていると小さな汚れが飛び散ってしまいます。
また、コバをやすりで削ると細かい粉塵が靴の表面に付着してしまうのでアッパーを仕上げ終わっていた場合には、追加で粉塵を除去する作業が必要になってしまいます。
以上の理由からコバの手入れは靴磨きの一番最初に行うべきだと考えています。
STEP1 やすりがけ
まず最初にやすりがけを行います。やすりがけを行う目的は主に2つあります。
- 古いコバインキ・ワックスを落とす
- コバの側面やバリを整える
コバインキは綺麗な艶が出ますが、ちょっとぶつけてしまったり、長期間の使用でボロボロと剥がれてきてしまう場合があります。
その上から新たなインクやワックスを塗り重ねても定着が悪くなる原因にもなりますのでやすりがけをして前回塗布した物をしっかり落としましょう。
もう1つは普段使いで傷がついた部分をやすりがけをしてならしていきます。
傷の上からインクを塗っても、傷が目立ってしまうので最初にならしておく事で仕上がりも良くなります。
「バリ」とはコバの側面とソールの底面が交わる角の部分の事を指します。


履いていくとこのバリが段々凹んできたり、削れる事によって丸みを帯びてきてしまいます。
この部分をやすりがけをして角を出してあげる事でキリっとした印象になるので触ってみて「角が無くなってきたな」と感じたら整えてあげましょう。
やすりがけの注意点は「毎回、必ずやる必要はない」という事です。
やすりがけを行った方がコバの面が整うので綺麗に仕上げる事ができます。
しかし、頻繁にやすりがけをしていくと革を削る事になりコバが段々と細くなってしまいます。
なので、やすりがけは「目立つ傷がある」場合以外は極力行わないのがおすすめです。
やすりは#240の物を使用します。
これより細かい番手でも問題はありませんが、やすりがけに時間がかかってしまうので#240がおすすめです。
逆にこれよりも粗い番手の物を使うと必要以上にコバを削ってしまう可能性があるので控えた方がいいでしょう。


やすりはコバに沿わせるようにかけていきます。5~10往復ほどさせて表面のざらつきが無くなったら完了です。
やすりがけをしていると古いワックスやクリームが使用面に付着してやすりの目が詰まってきます。
そのままだとやすりがけの効果がなくなってしまうので使用面が汚れてきたら定期的に交換しましょう。
コバを指で触ってみてつっかかりが無くなり、ツルっとしたら作業完了です。
STEP2 コバインキを塗る


次にコバインキを塗ります。
コバインキを塗り込む事でコバの色が剥げてしまった部分を補色し引き締まった見た目にする事ができます。
使用時の注意点はインクをつけ過ぎない事。靴磨きでは「少量ずつ使用して足りなくなったら補充」が基本ですがコバインキの場合は特に注意が必要です。
コバインキは蓋の裏側にスポンジがついているので、インクの残量が多い場合は常にスポンジ部分がインクに浸っている状態になっています。
そのままの状態で使用すると次の様なデメリットがあります。
- 液だれで仕上がりが悪くなる
- 乾燥に時間がかかり作業効率が悪くなる
- 必要以上に塗ってしまいインクを余分に消費する
コバインキを使用する際には瓶の縁の部分を使ってスポンジをしごいて余分なインクを落としてから使うようにしましょう。


コバインキのカラーはコバの色に近い物を使用するのがおすすめ。
コバが黒なら「黒」、コバが茶系やヒール部分に木が使われている場合は「茶・ダークブラウン」がおすすめです。
茶系のコバに黒のコバインキを使うのはおすすめしません。
コバインキは着色力が強いのでインクの色がべちゃっと乗ります。茶系のコバに黒のインクをのせると茶系のコバの持つ雰囲気が損なわれてしまいます。
ワックスで仕上げる事で茶系の良さを残しつつ、アンティーク磨きの様に黒っぽく仕上げる事ができます。
なので、コバインキの色はコバの色に合わせて、色を乗せたい場合はワックスの色を変えるのがおすすめです。
次にコバインキを塗っていきましょう。
コバインキを塗る時の注意点はアッパーの部分にインクをつけない事です。繰り返しになりますが着色力の強いインクなのでアッパーについてしまうと取り除くのが大変です。
心配な方はマスキングテープなど粘着力の弱いテープで養生しておきましょう。


塗る時は目立ちにくいカカトの内側に塗ってみて色合いを確認し、問題がなければ靴全体に塗っていきます。


塗っていてインクが足りないと感じたら再度インクを補給しましょう。
この時にも面倒ですがスポンジに吸収した余分なインクはしっかりと落とします。
STEP3 乾燥させる
コバインキが塗り終わったら風通しのよい場所で数分乾燥させましょう。
バリの部分に付着したインクが床についてしまうので乾燥させる時には新聞紙や敷き革など汚れてもいい物の上に置くようにして下さい。
乾燥するまでに時間がかかるので、その間に反対側の足にコバインキを塗っていきます。
STEP4 ワックスを塗る


両足のインクが完了したらワックスを塗っていきます。
コバインキだけでも色が乗るので必要がないと思われるかもしれませんが、ワックスを塗るのには2つ理由があります。
- 艶出し
- コバインキの保護
① 艶出し
コバインキだけでも十分な艶が出ますがその上から更にワックスを塗る事でより強い光沢が出ます。
コバにワックスが乗っていると綺麗な光沢が出るのでより全体の印象がグッと引き締まるのでおすすめです。
② コバインキの保護
2つ目の理由が「コバインキの保護」です。
コバインキは水溶性のインクなので色を乗せるが簡単なのですが、その分色が落ちやすいです。
そこで、コバインクの上からワックスでコーティングする事で膜を作る事でインクの色落ちを防ぐ事ができます。
乾いてからポリッシュで磨き上げて下さい。より効果が持続します。
出典:コロンブス
ワックスのカラーは基本的には同系色かニュートラルでOKです。
先程も触れた様にダークブラウンのコバインキを使用して黒っぽく仕上げたい場合は黒のワックスを使用して色を付けていきましょう。
コバ全体に薄くワックスの膜で覆われる程度に塗り込んでいきます。


この時にワックスを厚く塗り重ねる事で鏡面の様な光沢を出す事も出来ます。しかし、鏡面仕上げをしてしまうとコバが目立ち過ぎてしまうのであまりおすすめはしません。
STEP5 布で磨く
最後に布で磨いていきます。


磨く部分に水を2~3滴のせて磨きます。
靴全体を満遍なく磨いてコバを覆っていたワックスの膜がなくなれば完成です。


コバ全体がうっすらと光沢を帯びる程度に光らせる事ができました。
コバの中でも厚みがあり、目立つ部分でもあるカカト部分を比較してみましょう。


アッパー部分だけが綺麗に手入れされていてもコバが手入れされていないとなんとなく、アンバランスな仕上がりになりますがキチンと手入れする事で全体的にまとまった印象になりますね。
まとめ
コバはあまり目立たない部分なのでどうしても手を抜いてしまいがちですが、こういう目立たない部分をキチンと手入れする事で他の人と差をつける事ができます。
作業自体も短時間で終わるので普段のメンテナンスで行っていないという方は是非、導入してみて下さい。
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