【油性と乳化性って?】靴クリーム&特徴・使い方を徹底解説!
靴の手入れと言われて、『靴クリーム』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
「靴の手入れは靴クリームを塗っておけばOK」と考えている方も多いです。
しかし、靴クリームの特徴を正しく理解して使用しないとクリームの性能を発揮する事ができず逆に靴に負担をかけてしまったり靴トラブルの原因に繋がってしまいます。
自分も靴の手入れを始めた頃はクリームを塗り重ねるだけで、ちゃんとした手入れが出来ていませんでした。
本記事では、靴クリームの使い方や特徴について詳しく解説していきます。
これから靴磨きにチャレンジしたい・靴クリームについて詳しく知りたいという方は是非、最後までお付き合いください。
【靴クリームの特徴】艶出しと栄養補給で靴を長持ちさせる
靴クリームってどんな道具なの?
靴クリームは、革靴に栄養を補給する為のシューケアグッズの事。
靴クリームを使う目的は、主に次の3つが挙げられます。
- 栄養補給
- 艶出し
- 補色
革靴は牛や馬、爬虫類などの動物の革を使って作られています。革靴は履き込んでいく内に『水分』と『油分』が抜けるため、革のしなやかさが失われ、履き心地が悪くなります。
最終的には「ひび割れ」や「シミ」などの靴トラブルの原因に…。
最悪、履けなくなるかも!
そうしたトラブルを防ぐためにも、靴クリームを使った定期的な栄養補給が必要になります。
靴クリームには、艶を出すための蝋分が含まれているため、塗ると高級感のある艶を出せます。特に紳士靴は見た目の良さが重視されるので、靴クリームで手入れしておくだけで、ワンランク上の見た目になります。
靴と同じ色のクリームを使えば、色が剥げた部分を補色をしたり、自分好みの風合いに育たりできます。
栄養補給以外にも靴クリームには様々なメリットがあります!
靴クリームの『油性』と『乳化性』って何?
靴クリームは大きく分けて『乳化性クリーム』と『油性クリーム』の2種類に分けられます。
2つのクリームの違いは『水分を含んでいるかどうか?』という点です。
水分を含んでいるかどうかで靴クリームの特徴がどのように変わるのか簡単にまとめてみました。
特徴 | どんな人向け? | |
乳化性クリーム | クリームの伸びがいい 価格が安い | 初心者向け |
油性クリーム | 強い艶が出る | 中~上級者向け |
乳化性クリームは水分を含んでいるので油性クリームと比べると伸びが良く塗り広げやすいです。
伸びがいいとクリームを靴に乗せ過ぎてしまった時も全体に塗り広げて調整する事ができ、塗りムラになりにくいので失敗しづらい初心者の方におすすめのクリームです。
『扱いやすい』と表現される事もありますね!
一方の油性クリームは水分を含まない分、乳化性クリームよりも「油脂」や「蝋分」の配合量が多くなるのでより強い艶を出す事ができます。
簡単に強い艶が出せるのでワックスを使わずに油性クリームだけでも十分という方もいます。
水分が含まれていないので伸びが悪く扱いが難しいので中~上級者向けのクリームとされています。
乳化性クリーム ・・・伸びが良く使いやすい初心者向けクリーム
油性クリーム ・・・強い艶が出る中~上級者向けクリーム
この2種類のクリームの他によく革靴の手入れに使用されるものが『デリケートクリーム』です。
『デリケートクリーム』とは靴クリームよりも油脂やロウ分が少ない代わりに水分を豊富に含んでいる潤いの補給に特化したクリームの事です。
代表的な商品はM.モゥブレィのデリケートクリームです。
蝋分が含まれておらず、有機溶剤の配合量も少ないので乾燥した靴や状態の悪い靴の手入れの際に使用しましょう。
単体で使用するのではなく靴クリームとの併用がおすすめです!
靴クリームを塗る前にデリケートクリームを塗っておく事でより靴の状態を良くする事ができます。
デリケートクリームの使い方や特徴についてはこちらのブログで詳しく紹介しておりますので併せてご覧ください。
> 【靴磨き】デリケートクリームのおすすめは?靴クリームとの違いを徹底解説
靴クリームの『染料ベース』と『顔料ベース』とは?
『乳化性クリーム』と『油性クリーム』の違いについて解説させて頂きましたが、靴クリームはもう1つ押さえておきたい違いがあります。
それは『染料ベース』と『顔料ベース』の違いです。
『染料』と『顔料』は物に色を着色する為の物質の事で身近なものだと衣類を染めたりプリンターに使用されています。
食料品の着色にも使用されています!
『染料』と『顔料』の大きな違いは粒子が革の表面に残るか浸透するかという点です。
顔料は革の表面に色の粒子が残るのでクリームの色を、革の表面に綺麗に表現する事ができます。
染料は革の繊維に染み込んで着色するので革の表情を残しつつ、使い続けていく事でクリームの色に染めていく事ができます。
ただし、靴クリームが『顔料ベース』、『染料ベース』のどちらなのかは商品のラベル等に記載されていません。
その商品について紹介されているページや企業のHP等でチェックする必要があります!
Amazon等の商品説明で記載されている事もあるよ!
『染料』と『顔料』の事をより詳しく知りたい方はこちらのブログも併せてチェックしてみて下さい。
> 染料と顔料の違いは?革靴用クリームの特徴や注意点を徹底解説!
靴クリームはどんなタイミングで使う?
靴クリームの特徴は分かったけど、靴クリームはどんな手入れの時に使えばいいの?
靴クリームを使った手入れは次の2つが挙げられます。
- プレメンテナンス
- フルメンテナンス
『プレメンテナンス』は靴を購入してから履き下ろす前に行う手入れの事です。
「プレメンテ」と紹介される事もあります。
新品で購入した靴は特に手入れをする必要がないと思われがちですが、靴が定期的に手入れされていたのか全く手入れされずに長期間保管されていたのか私たちが判断するのは難しいです。
履き下ろしたら靴が乾燥していてひび割れちゃったって事もあるみたいだよ・・・。
靴トラブルを未然に防ぐ為にも『プレメンテナンス』は大切な作業で、栄養補給を行う為に靴クリームを使用します。
『フルメンテナンス』は汚れ落としからワックスを使った磨きまでを行う手入れの事。
靴磨きで皆様がイメージする手入れがフルメンテナンスだと思います。
フルメンテナンスの時に靴クリームを使って栄養補給を行う事で革靴を最高の状態で履く事ができます。
> 【靴磨き】初心者必見!革靴の手入れに必要な道具&やり方を徹底解説!
毎日履き終わった後とか毎週末に塗った方がいいんじゃないの?
靴クリームは1度塗れば効果がしばらく持続するので頻繁に塗る必要はありません。
使用頻度にもよりますが、靴クリームを毎週塗るのは多すぎます。
靴クリームは汚れ落としをしてから使用するので毎週手入れを行うという事は毎週クリーナーで汚れを落とす事になります。
クリーナーは溶剤を多く含んでいるので使うと革の負担になります。
極力使いたくないですね。
靴クリームの効果が続いている状態で新たなクリームを塗ると、栄養補給を行うメリットよりもクリーナーによる革への負担増というデメリットの方が大きくなります。
お気に入りの靴だから手入れをしたくなる気持ちも分かるけど、適度に期間を空けるのも重要なんだね!
靴クリームの使い方
自分に合った方法でクリームを塗っていきましょう。
靴クリームの塗り方
靴クリームは一度にたくさん取って塗り広げるのではなく少量ずつ取って足りなくなったらその都度補充するようにしましょう。
靴クリームを大量に使っても後々拭き取る事になるので無駄遣いに繋がります。
また、大量にのせてしまうと均等に塗り広げるのが難しくなり塗り広げている間にクリームが浸透してしまうなど様々なデメリットが挙げられます。
靴クリームを1回にとる量の目安はコーヒー豆1粒分。
つけ過ぎてしまったら容器の縁を利用して余分なクリームは戻しましょう。
塗りこんでいくうちに少しづつ指先の滑りが悪くなってきます。
指先にのせたクリームが革に浸透している証拠だよ。
指先の滑りが悪くなったと感じたり、指先を確認してクリームが無くなっていたら補充の合図です。
クリームを革靴に塗っていくと徐々に車をワックスがけした時のような白い膜がでてきます。
靴クリームに含まれる蝋分が革の表面に残るのでこのようになります。
この膜が出てきたら水分と油分が革に吸収されたという事なので他の部分を塗っていきましょう!
靴の表面全体をこの膜で覆う事ができたら完成です。
クリームが塗り終わったら豚毛ブラシでブラッシング ⇒ 布で余分なクリームを拭き取っていきます。
塗り重ねはNG!古い靴クリームはしっかりと落とそう!
「靴の手入れは靴クリームを塗るだけでOk」と紹介されていますがあまりおすすめはできません。
理由は2つあります。
- 蝋分が蓄積される
- 新しいクリームの浸透を邪魔する
靴クリームには「油性」、「乳化性」に関わらず蝋分が含まれていると紹介させて頂きました。
蝋分は靴の表面に綺麗な艶を出す事ができますが、革の表面の毛穴を埋めてしまうというデメリットがあります。
革の通気性を確保するという点からも蝋分で表面をコーティングされた状態は好ましいものではありません。
クリーナーで毎回落としていれば問題ないのですが、塗り重ねていくと蝋分の層が厚くなり革に取ってはより通気性の悪い環境になってしまいます。
また、古いクリームを落とさないと前回塗ったクリームが新しく塗ったクリームの成分の浸透を邪魔する事になります。
化粧を落とさないでまたお化粧を上から重ねるようなものだもんね。
革に良くなさそうだね。
何も手入れをしないよりは靴クリームを塗り続けた方が革には良いのかもしれません。
しかし革の為にも新しく塗ったクリームの性能をちゃんと発揮させるためにも、クリーナーを使ってしっかりと前回の汚れを落とすようにしましょう。
まとめ
今回は靴クリームについて紹介させて頂きました。
靴クリームは様々なメーカーから販売されているのでどのクリームを選べばいいのか迷ってしまいますね。
ですが、クリームの特徴を理解して自分の求める仕上がりを理解すればある程度絞る事ができます。
靴クリームは常に新しい商品が販売されています。
今後もおすすめの靴クリームが販売されたら随時紹介させて頂きますのでチェックしてみて下さい。
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