- インスタでピカピカな靴が投稿されていて自分の靴もあんな風にしたい!
- 実際にやってみたけど綺麗に光らせる事ができない
- 成功させるコツや秘訣があったら教えて!
SNSで綺麗に磨かれた靴を見て「自分の靴も綺麗にしてみたい!」とチャレンジしてみますが実際に自分で道具を集めて磨いてみてもなかなか綺麗に仕上げる事ができない。
Youtubeやブログで紹介されている通りに磨いてみても投稿者の様にうまく仕上げる事ができずに諦めてしまう方が大勢いらっしゃいます。
結論から言うと特別なテクニックは必要なく誰でも簡単に靴を光らせる事ができます!
私も靴磨きを始めた当初は道具の使い方が全く分からずに時間をかけても靴を綺麗に磨く事ができませんでした。しかし、靴磨き専門店を巡り、靴磨きに関する書籍を読み漁って自分の満足のいくような仕上りを実現できるようになりました。

このブログをご覧いただければ次の内容をご理解頂けます。
- 靴を光らせる為に必要な道具・磨き方
- コツや注意点
- ワンランク上の仕上がりにする裏技
靴を綺麗に光らせる事は靴磨きの醍醐味でもあり、自分でできるようになると靴磨きが更に面白くなります。
誰でも簡単に実践できる様に分かりやすく解説していきますので是非、最後までご覧ください。
【靴磨き】鏡面磨きとは?


すごい!つま先が鏡みたいにピカピカに光ってる!

この様に磨くテクニックの事を『鏡面磨き』・『ハイシャイン仕上げ』と言います
ワックスを靴の表面に薄く塗り重ねていき、何層も重ねていく事で鏡のように光ります。
この『鏡面磨き』が靴磨きの醍醐味でもあり、靴磨き好きの方が魅せられる技術になります。

鏡面磨きを行うのには大きく3つの理由があります。
- 見た目が良くなる
- 水から靴を守る
- 傷から靴を守る

上の画像の靴を見比べてみて下さい。同じ靴ですが左側の靴が鏡面磨きを行った靴で右側の靴が何も手を加えていない靴です。

左の靴の方が高級感があるよね!
しっかりと靴の手入れが行き届いていて見ていて気持ちがいいですし「足元にまで気を配れる」と相手に好印象を与える事ができます。
また、見た目がよくなるだけではなく靴の表面をワックスでコーディングする事で靴の天敵である雨や水濡れから靴を守り、知らない間に擦ってしまった時も浅い傷ならワックスが落ちるだけで靴本体にはダメージが届かないので靴の保護にも繋がります。

靴のケアだけを考えるなら要らない作業になりますが見た目の良さ&靴の保護の為に行っておくべき作業です!
靴磨きの詳しい手順についてはこちらのブログをご覧ください。
しかし、メリットだけではなくデメリットもあります。
- 靴(革)が呼吸できなくなる
靴の表面をワックスでコーティングする事で表面の無数の小さな毛穴を塞いでしまいます。その為、革が呼吸できなくなりコンディションの悪化に繋がります。
定期的にワックスを落として栄養補給をすれば問題はないのですが次のような事が内容に気をつけましょう。
- 一度仕上げたら長期間ワックスを塗ったままにする
- 鏡面磨きに仕上げた上からワックスを塗り重ねて厚塗りにする

鏡面磨きをしたままの靴に靴クリームなどを塗ってもワックスが邪魔をしてクリームの成分が革にうまく浸透しなくなります。
靴の手入れを行う時はクリーナーを使ってしっかりとワックスを落として革を一度すっぴんの状態に戻してから手入れをしていくようにしましょう。
鏡面磨きで使う道具
次に鏡面磨きを行う際に使用する道具を紹介します。

- ワックス
- 水
- 布(ネル)
- 山羊毛ブラシ
① ワックス

ワックスは柔らかいワックスと固いワックスを2種類使い分けます。元々は同じワックスですが固いワックスは購入後、1週間ほど蓋を開けて乾燥させています。
下地作りと仕上げで使い分ける事で、より効率的に仕上げる事ができるようになります。
② 水

鏡面磨きになくてはならないのが水です。水とワックスで磨く事で鏡のような輝きに仕上げる事ができるようになります。
水を取り出しやすいようにハンドラップという容器に入れて使用しています。
③ 布

鏡面磨きで使う布はネル生地がおすすめです。
ネットで販売されている靴磨き専用布は高額なものが多いので自作する事をおすすめします。くわしくはこちらをご覧ください。
④ 山羊毛ブラシ

最悪、無くても問題ありません。
山羊毛ブラシでブラッシングする事で鏡面磨きをしていない部分もふんわりと艶をのせる事が出来るので仕上がりに一体感が出ます。
失敗しないためのコツ
冒頭で鏡面磨きに特別な技術は必要ないと紹介させて頂きましたが、私は鏡面磨きは減点式だと考えています。
失敗してしまう原因は大体決まっています。その原因を理解してそうならない様に気をつければ鏡面磨きが成功する可能性はグッと高くなります。
- 水とワックスは少量ずつ使う
- 力を入れずに磨く
- しっかりと下地を作る
- 使う布にこだわる
- 左右交互に磨く
水とワックスを少量ずつ使う
鏡面磨きで使用する水とワックスは少量ずつ使用するように心がけましょう。

- 水の量は磨く面に2~3滴
- ワックスはスマホをスクロールする感覚で表面をなぞって指についた量
一番多い失敗の原因は水とワックスの使用する量が多すぎる事です。
綺麗に光らせようと考えてワックスを大量に塗ってしまうとムラが出来てしまったり、うまくワックスを塗り広げる事ができずにボコボコになってしまいます。
結果、鏡面を平らにならす事ができずにうまく光沢を出す事ができなくなってしまいます。
水は仕上げの磨きの時に使用します。
水の量が多すぎるとクッション代わりになってしまい磨いても磨いてもワックスの層を平らにならす事ができません。

使う面が水でひたひたになっていたら水のつけすぎなので使用面を変えましょう!
力を入れずに磨く
次に多い失敗の原因は「力を入れて磨いてしまう」事です。
Youtubeなどの動画サイトで磨いているところを見ていると指をすごい速さで動かしているので一見すると力を入れて磨いているように見えます。
しかし、磨きの時にはほとんど力を入れておらず磨くというよりも撫でるという表現の方が合っているというくらい優しく磨きます。
力を込めて磨いてしまうと下地で塗ったワックスを剥がしてしまう事になるので磨く時は力を入れずに磨く事を心がけましょう。
しっかりと下地を作る
最初からワックスを布にとって磨いても鏡面に仕上げる事は難しいです。
鏡面磨きをする場合にはワックスを下地と仕上げの2層で作る必要があります。

先程も軽く触れましたが、革靴の表面には目に見えない無数の毛穴がありそれを柔らかいワックス(ベースワックス)を塗る事で埋めてから固いワックス(ハードワックス)で磨く事で日光を綺麗に反射して鏡面のように光らせる事ができます。
下地を作らずにいきなり仕上げようと磨いても、毛穴が埋まっていないので表面が平らにならず綺麗に仕上げる事ができません。
まずはしっかりと下地(ベース)を作ってから磨くという事を意識しましょう。
使う布にこだわる
鏡面磨きを行う時には柔らかい布を使うようにしましょう。

理想は『ネル生地』か『綿100%』の柔らかい生地です。
「靴磨きの布はTシャツでも大丈夫」という記事をよく目にします。
汚れ落としならどんな布でも問題なく使用する事ができますが、鏡面磨きの場合は鏡の様な光沢を出すので固くゴワゴワした生地で磨いていると鏡面部分に小傷がついてしまいます。
使う目的に応じて、使う布にはこだわるようにしましょう。
左右交互に磨く
靴を磨く時には左右の靴を交互に磨いていきます。

これには次のような目的があります。
- 時間を空ける事でワックスを乾燥させる
- 左右の仕上がりにバラつきがなくなる
鏡面磨きをより効率よく仕上げるにはワックスを乾燥させる事が重要です。
片方の靴ばかり磨き続けていると靴表面のワックスが空気に触れる時間が短くなり仕上げに時間がかかってしまいます。
靴を交互に磨く事によって反対の足を磨いている間にもう片方の靴を乾燥させてワックスを乾かします。これを繰り返す事で効率よく仕上げる事ができます。

どうしても光らない時には10分~30分程靴を乾燥させてみるのも1つの手だよ!
長い人は一晩置いてから磨く人もいるみたい!
靴を交互に磨く事で均等に両足を仕上げる事ができるので左右の仕上がりにバラつきがなくなります。
一足ずつ仕上げていくと「右足は100点の仕上がりだけど、左足は70点くらい・・・」なんて事になるのを防ぐ事が出来ます。
また、磨く手順をルーティン化する事で作業の漏れを防ぐ事ができます。
磨く手順を決めておくと作業の漏れを減らす事ができます。
ながら作業をしていると時々どこまで手入れをしたか分からなくなってしまう時があるのですが手順を決めておけばそんな時でも困る事はなくなります。
靴を磨く時は左右交互に磨きつつ、自分の作業手順を決めておくのがおすすめです。
鏡面磨きの磨き方
次に鏡面磨きの磨き方を紹介していきます。
作業時間は両足でおよそ20分~30分程みておきましょう(下地作りや仕上げで磨く回数によって前後します)。
動画で鏡面磨きを仕上げている動画をアップしております。文章だと分かりづらい・・・という方は合わせてチェックしてみて下さい。
① 下地作り
まずは柔らかいワックスを使用して下地(ベース)を作っていきましょう。
下地には伸びがいい柔らかいワックスを使用します。塗る時のポイントはとにかくワックスを均等に塗り広げる事です。
円を描くように塗ったり、縦・横・斜めと様々な方向から磨く事で平らにならす事ができます。

下地のワックスを塗っていくと白い膜が残ってしまいます。
「思っていたよりも綺麗にならない・・・」と不安になりますがこの膜が下地となるので問題はありません。

両足に塗り終えたら下地のワックスが1層塗った事になります。
この工程を5回~10回ほど繰り返します。

こちらが5層ほど塗ったものになります。
下地のワックスを塗っていく時に重点的に塗るポイントを紹介します。
つま先

黄色い線の部分を重点的に塗っていきます。
縫い目の部分までワックスを塗ると「つま先部分だけ別の生地?」となってしまうのでグラデーションを意識してあえて塗らないように気をつけましょう。
サイド

サイドに関してもコバに近い下の部分に重点的に塗っていきます。
つま先部分同様に底に近い部分を重点的に塗って上の方は薄くグラデーションを意識して塗りましょう。
かかと

かかとは山の形のように後ろから見た時にほぼ全面が塗っているように塗ります。
ハンドラップ
ベースワックスを塗っていると気になるのが「どのくらいまで塗り重ねればいいのか?」という事です。
ここでは『ハンドラップ』というテクニックを使ってベースワックスが仕上がっているか判断する方法を紹介します。

画像の赤く印のついている『小指の付け根の下』を使って下地を塗った部分を軽く擦ってみます。
すると、表面に塗った下地のワックスの曇りが取れて少し光沢が出ているのが分かります。


下地が出来上がっている場合はうっすらと反射する程度の光沢が出ると共に擦った時にガラスに触れているような「キュッ」と音が鳴ります。
仕上げ
下地が出来上がったら次は布を指に巻き付けて磨いていきます。

仕上げの時は固いワックスと水を使って磨いていきます。ワックスはベースを作る時と同じく軽く撫でて表面に付着した量でOKです。

磨く部分に水を2~3滴のせて磨いていきます。磨いていて布の滑りが悪いと感じたら再度2~3滴水をのせて磨いていきましょう。

磨いても白い膜が残ってしまいますが、この膜をあえて残すように磨くのがポイントです。
この膜が残っている事で次にワックスをのせた時に新しいワックスがのりやすくなります。水をのせながら磨き続ければこの膜を取り除く事はできますが、下地と同じく塗り重ねた分だけ艶が出るので最後に仕上げる時まではあえて膜を残すように磨きましょう。
仕上げの時も5回~10回ほどこの工程を繰り返しましょう。

こちらが5回磨いたものです。
かかとからつま先にかけて綺麗な艶を出す事ができました。
山羊毛ブラシでブラッシング

このままだと鏡面磨きをした部分としていない部分がくっきりと分かれてしまっているので全体的にまとまりのない仕上がりになっています。
そこで、山羊毛ブラシでブラッシングをします。
育った山羊毛ブラシでブラッシングをすることでワックスをのせていない部分にもふんわりとした艶を出す事ができまとまった仕上がりになります。山羊毛ブラシの詳しい使い方についてはこちらをご覧ください。
ワンランク上の仕上がりにする裏技
山羊毛ブラシのブラッシングで完了でもいいのですが最後に「鏡面磨きの仕上がりをワンランク上の仕上がり」にする2つのテクニックについて紹介します。
- コンパウンド磨き
- 水研ぎ
コンパウンド磨き

コンパウンド磨きは鏡面に仕上げた部分をさらにコンパウンドで細かく研磨する磨きの事です。コンパウンドはタミヤのプラモデル仕上げ用の物を使用しています。

写真の量くらいほんの少量を布にのせて鏡面全体に塗り広げていきます。コンパウンドを塗り広げていくと白い膜で覆われます。

そうなったら、水を鏡面磨きの時と同じく2~3滴磨く部分にのせて曇りがなくなるまで磨いていきます。

コンパウンドには研磨剤が含まれているので鏡面磨きの時以上に力を入れない様に注意しましょう。
力を入れすぎるとせっかく仕上げた鏡面が崩れてしまう場合があります!

左側が山羊毛ブラシでブラッシングをした靴で、右側がコンパウンド磨きを行った靴です。
右側の靴の方がより鮮明に反射している事がお分かりいただけると思います。
より透明感のある仕上がりにできる一方で、先ほども紹介した通りコンパウンドは研磨剤が含まれています。
ワックスでコーティングしているとは言え、靴に全くダメージが無いとは断言できないのであくまでも自己責任でチャレンジしてみて下さい。
水研ぎ
水研ぎとは水と布のみを使用して仕上げる工程になります。
一番最後に優しく縦方向に研ぐようにして優しく磨く事で表面に残った僅かな曇りを取り除いていきます。

『水研ぎをしたら靴磨きは終わり』と覚えておきましょう!
詳しい方法につきましてはこちらのブログをご覧ください。
まとめ
- 鏡面磨きの目的は見た目の向上、傷・水濡れから靴を守る事
- 高度な技術は不要で、ポイントを押さえれば誰でも成功できる
- コンパウンド磨きと水研ぎでワンランク上の仕上がり
鏡面磨きを自分で仕上げる事が出来るようになると靴磨きが今まで以上に面白くなります。
何度も繰り返しになりますがポイントさえ押さえる事ができれば誰でも鏡面磨きを仕上げる事ができるので是非、チャレンジしてみて下さい。