
パレットシャイン!アーティストパレットを使った鏡面磨きとは!?

- 靴クリームだけで鏡面仕上げができるの?
- パレットシャインって何?
- パレットシャインのやり方を教えてほしい!
革靴のつま先を鏡の様に仕上げる『鏡面磨き』。
靴磨きのやり方を紹介する本や動画を見てみるとワックスを使用して仕上げる方法が紹介されています。
自分も鏡面磨きを練習していた時も「ワックスを使用する事でこのような艶に仕上げる事が出来る」と教わってきました。

この鏡面磨きを靴クリームのみでも行う事が出来る方法をご存じでしょうか?
今回は靴クリームのみで鏡面磨きを仕上げる『パレットシャイン』について詳しく解説していきます。
- パレットシャインとは?
- 必要な道具
- パレットシャインのやり方
自分も最初は半信半疑でしたが、ワックスを使用した時と変わらない仕上がりにする事ができました。
使う道具を減らす事ができ、作業自体も簡単なので興味を持った方は是非チャレンジしてみた下さい。
『パレットシャイン』とは!?靴クリームだけでハイシャイン!?


『パレットシャイン』ってどんな磨き方なの?

『パレットシャイン』はコロンブスから販売されている靴クリームの『アーティストパレット』のみを使用して、鏡面磨きに仕上げる磨き方の事です。
鏡面磨きで仕上げられたこちらの靴はシューケア用のワックスは一切使用せずに、靴クリームの『アーティストパレット』のみを使用して仕上げられた靴になります。
靴磨きをされている方なら1度は聞いた事があるシューケアグッズの老舗メーカー『コロンブス』。
そんなコロンブスの上級ラインとして展開されているBoot Blackシリーズの中でも特に人気の高い靴クリームが『アーティストパレット』です。
アーティストパレットの特徴を簡単にまとめると次の通り。
- 豊富なカラーリング
- 蝋分の多い『油性靴クリーム』
- アルガンオイルなど貴重な成分を配合

プロの靴磨き職人も愛用していて、革靴愛好家の中でも人気の高い靴クリームの1つだよね!
アーティストパレットの詳細についてはこちらのブログで詳しく紹介しておりますので、併せてご覧ください。

パレットシャインはプロが考えたテクニック

アーティストパレットを革靴の栄養補給だけでなく、鏡面磨きを行う際に使用したテクニックが『パレットシャイン』と呼ばれています。

パレットシャインに関しては自分が調べた結果、名古屋の靴磨き専門店『Gaku Plus』(※現「Gaku YAMAZAKI)のオーナーの佐藤我久さんが自身の書籍で紹介されたのが始まりでした。
この書籍で紹介されている方法は「鏡面磨きをした箇所としていない箇所の境界を、アーティストパレットで磨く事で自然なグラデーションになる」というもの。

(なんだか難しそう・・・)
鏡面磨きで一番難しいのが、自然なグラデーションに仕上げる事です。
ワックスを厚く塗る事で光沢を出す事が出来るのですが、どうしてもワックスを塗った部分との境界がはっきりと分かれてしまいます。

その部分だけエナメルのパーツ?
と、思われるような仕上がりになってしまいます。
そんな境界部分をアーティストパレットで磨く事で靴クリームに含まれる有機溶剤が、ワックスを溶かしつつ適度な光沢を出してくれて自然なグラデーションに仕上げる事ができます。

このパレットシャインを更に改良したのが、同じくGaku YAMAZAKIの靴磨き職人の小川恭生さんです
「パレットシャイン改」と紹介されているこちらの磨き方ですが、下地作りから仕上げまで全ての工程をアーティストパレットのみで行っています。

すごい!靴クリームだけでこんなにピカピカになっちゃうんだね!
これは蝋分の多い『油性クリーム』のアーティストパレットだからこそなせる業と言えます。
『乳化性クリーム』の靴クリームは『油性クリーム』と比べて水分が含まれている分、仕上げるのが難しいので注意が必要です。
油性クリームと乳化性クリームの違いについては、こちらのブログで解説しておりますので併せてご覧ください。

『パレットシャイン』に必要は道具とは?


パレットシャインの凄さは分かったけど何が必要なの?
パレットシャインに必要な道具は次の3種類です。
- 水
- 布
- 靴クリーム(アーティストパレット)
この3つだけ準備すればOKです。
今回使用する靴クリームはアーティストパレットになりますが、油性クリームなら代用する事もできます。
布に関しては出来るだけ柔らかい布を使用して下さい。
固い布や表面がゴワゴワした布を使用すると、鏡面に仕上げた部分に小傷が入ってしまいます。

『ネル生地』みたいな肌触りがいい素材がおすすめだよ!
通常の靴磨きに必要な道具に関してはこちらのブログをご覧ください。

『パレットシャイン』の磨き方!徹底解説

次に『パレットシャイン』の手順について解説します。
- 下地作り
- 水 + 靴クリームで磨く
- 水のみで磨く
今回はスコッチグレインの黒のストレートチップを使用して磨いていきます。

① 下地作り

まずは鏡面磨きの下地となる層を作ります。指先にコーヒー豆1粒分くらいの量の靴クリームをとり薄く塗り広げていきます。
革の表面の細かい毛穴を埋めて表面を平らにコーティングする為に上下、左右、斜めに動かしたり、円を描くなどして均等に塗り込みましょう。

何層にも薄くクリームを塗り重ねる事によって下地を作るイメージです。
クリームを塗ると蝋部の膜で靴の表面が白く曇ってきます。この工程を何度も繰り返していくうちに少しずつ光沢が出てきます。

この状態になったらしっかりとした下地ができた証拠なので次の工程に進みます。

でも、見た感じのイメージだとイマイチ分かりづらいんだよな~

そんな方には『音で判別する』方法がおすすめです
靴の表面はすっぴんの状態で擦ってみても特に音はしないのですが、下地ができている表面を指で擦ってみると「キュッ」とガラスの表面を擦ったような金属音がします。
見た目で判断が難しいという方はこの方法でもチェックしてみて下さい。
下地が作りが完了したか見極めるポイント
- 蝋分の膜の下にうっすらと光沢が出ている
- 指で擦ると「キュッ」と金属音がする
② 水 + 靴クリームで磨く

次に「水」と「靴クリーム」を使って磨いていきます。指先に布を巻き付けてから少量の靴クリームをのせ、つま先部分には少量の水をのせます。
一度にのせる水の量は2~3滴で充分です。

使う水は少しずつにして足りなくなったらその都度補充するようにしましょう。

自分は靴に直接水をのせていますが、使用する布を湿らせてもOK!
やりやすい方法で磨きましょう!
磨く時は力を入れずに磨きます。
動画などを見ていると力を入れて磨いているように見えますが、力を入れて磨いてしまうと先程作った下地が崩れてしまい綺麗な光沢を出す事が難しくなってしまいます。
靴の表面を磨く時はとにかく力を入れずに磨く事を意識して下さい。

磨くっていうよりも撫でるっていうくらいの方が合ってるかも!
表面の滑りが悪くなってきたと感じたらその都度、少量の靴クリームを補充します。
ただ、「磨いても磨いてもなかなか光沢が出てこない」と感じる方もいらっしゃると思います。
そんな時には次の方法を試してみて下さい。
- 靴クリームを乾燥させる
- 時間を置いて磨く
磨いても光沢ができない原因は靴クリームに含まれる有機溶剤が原因で仕上がりにくくなっている可能性があります。

有機溶剤が靴の表面に作った蝋分の層を溶かしてしまう為です。
ワックスの場合は下地作りは「柔らかいワックス」。
仕上げの場合は柔らかいワックスを乾燥させて有機溶剤を揮発させた「固いワックス」と使い分ける事で効率良く仕上げる工夫をしています。

靴クリームでも同じ方法を採る為に、靴クリームの蓋を開けたまま少し時間を置いてみましょう。
クリームの表面部分が乾燥し固くなるので、固いワックスと同じように使う事ができます。

クリームの成分が変わりそうで不安な方は使用する少量だけ別の小皿などに取り分けて乾燥させてみましょう!
2つ目の方法が「時間を置いて磨く」方法です。
この方法もワックスで磨く時によく使われるテクニックです。磨いてからすぐにクリームと水を補充して磨き続けるのではなく10分~15分ほど置いてから磨いてみましょう。
時間を置く事で靴の表面に塗ったクリームが乾燥し、有機溶剤が揮発する事で簡単に鏡面に仕上げる事ができるようになります。

さっきのクリームを乾燥させるって事と考え方は同じだね!
『靴を交互に磨く』と紹介されている事が多いのですが、これは両足の仕上がりに差が出ないようにする事の他にも、時間を置いて乾燥させてから磨くという目的があります。
上手く鏡面に仕上げられないという方は試してみて下さい。

自分の満足いく光沢が出てきたら完了です。

③ 水のみで磨く

最後の仕上げは水のみで磨きます。

このテクニックの事を『水研ぎ』と呼びます。
鏡面が仕上がったら、最後に水のみで磨く事でより深い艶を出す事ができます。
水研ぎで気をつける点は次の3点。
- 布をきれいな面に交換する
- 水は少量(2~3滴)
- 縦方向に磨く
水研ぎを行う事で表面に残った油膜を綺麗に取り除く事ができます。
表面に小傷がなくなるまで磨けば完了です。
水研ぎについてはこちらのブログで詳しく解説していますので併せてご覧ください。

④完成


磨く前と後でどう違うのか比較してみよう!
左側が「手入れ前」、右側が「手入れ後」のつま先部分です。
靴クリームだけで磨いても、充分な光沢が出る事がお分かり頂けると思います。

今回は仕上げの磨きを10回程行いました。
作業時間は片足で15分程度で仕上げる事ができました。
より深い艶を出したい場合は下地作りと仕上げの磨きの回数を増やす事で、強い光沢を出す事ができます。
ワックスで鏡面磨きを行う場合とほとんど変わらない時間で仕上げる事ができたのでアーティストパレットの性能の高さに驚かされました。
まとめ
今回はアーティストパレットを使用した『パレットシャイン』について紹介させて頂きました。
磨いてみた感覚は普段のワックスと大きな違いはなく作業時間もほとんど変わらずに仕上げる事ができたのでとても面白い磨き方だなと思いました。
こうした新しいテクニックはどんどん試してみたいですね。
このブログを見て興味を持った方は是非、チャレンジしてみて下さい!
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