染料と顔料の違いは?革靴用クリームの特徴や注意点を徹底解説!
- 靴クリーム選びで気をつけた方がいい事って何?
- 「染料」と「顔料」の違いは?
- それぞれのおすすめのクリームを教えてほしい!
靴クリームの種類は大きく分けて「油性クリーム」と「乳化性クリーム」に分けられます。
これはクリームに使用されている成分で分類されていて、ラベル等に記載されているので理解している方も多いと思います。
> 靴クリーム大全!油性・乳化性・デリケートクリームの使い方と塗り方を徹底解説!
この他にも靴クリームは『染料ベース』と『顔料ベース』で分ける事もできるのはご存じでしょうか?
この2つに関してはラベル等に記載されていないのでその商品についてよく調べてみないと分からないので『全く知らない』という方が大半だと思います。
ただ、この2つの特徴を理解する事でより靴磨きが楽しくなります!
今回のブログでは『染料と顔料をベースにした靴クリームでは何が違うのか?』という事について詳しく解説していきます。
このブログをご覧いただければ次の内容をご理解頂けます。
- 「染料」と「顔料」とは?
- 特徴とメリットデメリット
- 「染料」と「顔料」のクリームの比較検証
それぞれの特徴を理解する事で、より靴クリームの成分を効率よく発揮できるようになります。
是非、最後までご覧ください。
染料と顔料って何?
『染料』と『顔料』?
その2つが違うと靴クリームにどんな影響があるの?
色付きの靴クリームは『染料ベース』のものと『顔料ベース』のものに分類されます。
「染料」と「顔料」のどちらがベースになっているのかで靴クリームを塗った時の革の表情や着色の仕方に違いがあります。
それぞれの簡単な特徴を図で表すと次の通りになります。
靴クリームを塗った時に顔料ベースのものは革の表面に吸着するのに対して、染料ベースのクリームは革の内部に浸透して着色していきます。
それぞれの特徴については後ほど詳しく紹介します。
それぞれの特徴についてもう少し深堀していきましょう。
染料とは?
『染料』とは繊維に浸透して着色する有色の物質の事。
染料をベースにした靴クリームを繰り返し塗り込んでいく事で徐々にクリームの色が浸透して染まっていくので自分好みの色に育てる事ができます。
顔料は革の表面に残るのでクリームの色がはっきり出ますが、染料は革の中へと浸透していくので顔料と比べると表面の仕上がりはくすみやすいです。
経年変化を楽しみたい方におすすめですね!
染料ベースの靴クリームを塗り続けて育てた靴は数年経つと全く違った見た目になります。
一方で、内側から徐々に染めていくので一度染まった物を元の状態に戻すのは非常に困難です。
顔料と比較すると色褪せや色の変化が起こりやすく品質が安定していないといったデメリットも挙げられます。
水にも弱いので急な雨に降られると色が落ちてしまう事も。
また、摩擦や衝撃に弱く繊維にしっかり吸着する前は色落ち・色移りしてしまう事があります。
革靴はなら特に問題はありませんが、次のような小物は服や他の小物に色を移してしまう場合があるので注意が必要です。
- 財布
- 鞄
- キーケース など・・・
こういう小物はクリームを塗った後には時間を置いて染料を馴染ませる必要があるんだね!
傷や色が抜けてしまい色が剝げてしまった部分も同じ色のクリームを塗り込んでいく事で色が馴染んでいくので目立たなくさせる事もできます。
- 染色力が高く経年変化を楽しめる。
- 革らしい表情を残したまま染色できる。
- 色落ち・色移りしやすく色の変化が起こりやすい。
『染料』ベースの靴クリーム
『染料』をベースにして作られた靴クリームを紹介します!
- M.MOWBRAY シュークリームジャー
- M.MOWBRAY クリームナチュラーレ
- M.MOWBRAY ROYAL シュークリーム
- ENGLISH GUILD ビーズリッチクリーム
- Brift H THE CREAM
M.MOWBRAYの商品が目立ちますね。
他のメーカーは顔料ベースの靴クリームをメインに販売しているのに対してM.MOWBRAYは染料ベースのクリームをメインに展開しています。
実績もあり、取扱店舗も多いので染料ベースの靴クリームを購入するならM.MOWBRAYの商品を購入する事をおすすめします。
ちなみに「M.MOWBRAY ROYAL」とはM.MOWBRAYのハイエンドラインの事です。
染料ベースの靴クリームをいくつか紹介させて頂きましたが、その中でも特におすすめしたいのが『M.MOWBRAY シュークリームジャー』です。
染料ベースのクリームとしては珍しくカラーバリエーションが全60色と豊富に取り揃えられています。
顔料ベースのクリームと比べて少し値段が割高な染料ベースのクリームでありながら1,000円以下で購入できる点もおすすめです。
顔料とは?
顔料とは物に色を付ける粉末状の非常に細かい粒子の事。
食料品にも使用されています。
顔料ベースの特徴として主に次のようなものが挙げられます。
- 水に強い
- 色落ち・色移りしにくい
- 経年変化しづらい
顔料は水や油で溶けにくいので染料と比較すると水に強いと言えます。
また、色落ちや色移り、日光等の強い光を浴びても変化しないので品質が安定しているのもメリットです。
靴ならそこまで心配はありませんが、サイフやキーケースのような小物の場合はバッグの中に入れておくと色移りしてしまいますね!
前回塗ったクリームが汚れ落としで簡単に落ちてしまうので繰り返し塗り込む事で得られる経年変化を感じづらいといった特徴も挙げられます。
使う色を変える事で違った仕上がりに磨く事ができますが、クリームの色を革に浸透させたいと考えている場合は相性が悪いと言えます。
少しずつクリームの色を入れていきたいって考えていたら時間がかかっちゃうんだね。
顔料の靴クリームは染料のクリームと比べてカラーバリエーションが豊富です。
サフィールの定番の商品「ビーズワックスファインクリーム」は80色以上の色が展開されています。
クリームの色がダイレクトで見た目に反映されるのでメジャーな靴クリームは顔料ベースの物が多い気がしますね。
革の繊維に染み込むのではなく表面に顔料の粒子が残るので染料で革の内側に着色したものよりもクリーナーで簡単に落とす事ができます。
顔料は染料と比べると革に染み込みにくいですが全く革に浸透しない訳ではありません。
クリーナーで古いクリームを落としたとしても完璧に落とす事は難しいのでその点は注意しましょう!
あえて部分的に濃い色のクリームを使用して履き込んだような雰囲気に仕上げる「アンティーク磨き」のようなテクニックと相性が◎
靴クリームの成分がのりにくいとされているガラスレザーですがBoot Blackから販売されている「コレクションズクリーム」を使用する事で色をのせる事ができます。
「コレクションズクリーム」はナノ顔料と呼ばれる顔料の中でも更に細かい粒子を使用しているので靴の表面がコーティングされているガラスレザーのような素材にもクリームの色をのせられます。
どんな革でも色をのせる事ができるなんて最高だね!
着色力が高い反面、クリームの色が革の表面にべたっとのってしまうので染料よりも革の表情を隠してしまいます。
革っぽい見た目が損なわれると表現される事も多いですね。
- 靴の表面に着色。発色がいい。
- 色落ち・色移りしづらく簡単に落とせる。
- 経年変化を感じづらい
『顔料』をベースにした靴クリーム
『顔料』をベースにした靴クリームで代表的な商品を紹介します。
- SaphirNoir クレム1925
- Saphir ビーズワックスファインクリーム
- Boot Black アーティストパレット
- Boot Black コレクションズクリーム
- Boot Black シュークリーム
靴磨き好きから絶大な人気を誇る「サフィール」と「Boot Black」の商品は顔料ベースのクリームがメイン。
おすすめの靴クリームの定番として挙げられる「クレム1925」も顔料ベースの靴クリームです。
この中でおすすめのクリームは「クレム1925」です。
蝋分が多い油性の靴クリームでありながら非常に伸びがいいのでムラになりにくく、簡単に靴の艶を出す事ができます。
また、靴クリームの色もしっかりとのってくれるのでアッパーだけでなくコバ等の着色にもおすすめです。
ガラスレザーやパテントレザーなど、靴の表面がコーティングされていて着色しづらい素材の場合には先程紹介した「コレクションズクリーム」がおすすめです。
『染料』と『顔料』のクリームを比較してみた!
染料と顔料の特徴とか色の着色方法はなんとなくわかったけど・・・
実際にはどの位仕上がりに違いが出るの?
次に実際にそれぞれの靴クリームを使用するとどのような違いがあるのか検証してみました。
使用する靴クリームは次の2つです。
それぞれの靴クリームを革の端切れに塗ってみてどのように色がのるのか?、クリーナーで靴クリームを落とすとどうなるのか?
この2点について検証してみました。
写真の左側が染料ベースの靴クリーム、右側が顔料ベースの靴クリームを塗った物です。
顔料ベースの方が革の表面に色がしっかりとのっています。
染料ベースのクリームの方が中に染み込んでいる分、革の表面の色は薄いように感じます。
表面を触ってみたところ、顔料ベースの方が若干べた付いているように感じました。
この1回では少し違いがある程度ですが、それぞれのクリームを塗り込み続ける事で後々大きな違いが出てきそうですね。
続いてクリーナーで汚れを落としてみました。
顔料ベースのクリームの方はしっかりと汚れが拭き取れています。
一方の染料ベースのクリームは顔料ベースのものと比較すると布に付いたクリームの色が薄く拭き取れている量が少ないように感じます。
顔料ベースの方が表面に成分が付着していてきれいに落とせるっていうのは本当だったんだね!
革の端切れを見て頂くと分かるようにどちらも革の表面にクリームの色が残っているのが分かります。
強い溶剤等を使えばもう少し綺麗に落とす事ができそうですが革に負担になってしまいます。
まとめ
今回は『染料』と『顔料』をベースにしたクリームの違いについて紹介させて頂きました。
簡単にまとめると次の通りです。
染料ベース | 顔料ベース | |
色落ち・色移り | しやすい | しづらい |
経年変化 | する | しづらい |
水への耐性 | 弱い | 強い(染料より) |
その他 特徴 | 革の表情を残した仕上がり 染色力が高い | 傷を目立たなくする 劣化しづらい 簡単に落とせる |
『顔料』と『染料』の両方のクリームを使いこなす事でより自分の思い描いた仕上がりを実現する事ができます。
それぞれの特徴を理解して靴のお手入れに役立ててみて下さい。
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