
【靴磨き】デリケートクリームのおすすめは?靴クリームとの違いを徹底解説

- デリケートクリームって他の靴クリームとどこが違うの?
- デリケートクリームはどんな時に使うべき!?
- おすすめの商品があったら教えてほしい!
靴磨き用のクリームを探していると各メーカーから色々な種類の靴クリームが販売されています。
種類に関しても「油性」、「乳化性」そして「デリケートクリーム」と様々なものがありこれから始めようとする方はどれを最初に購入すればいいのか分からず迷ってしまいます。

自分も靴磨きを始めた頃、本やブログを見てもどのクリームも横並びに紹介されていてどれを購入すればいいのか分かりませんでした。
その中でも『デリケートクリーム』はどんな時に使用するのか分からないクリームでした。
そこで、今回のブログでは「デリケートクリームの特徴」について紹介させて頂きます。
このブログをご覧いただければ以下の内容をご理解いただけます。
- デリケートクリームクリームの特徴
- デリケートクリームの使い方・他のクリームとの違い
- おすすめの商品
靴クリームは色々な種類に分けられていて分かりづらいですが、それぞれのクリームの特徴をしっかりと理解して使い分ける事で最大の効果を発揮してくれます。
分かりやすく解説させて頂きますので是非、最後までご覧ください。
デリケートクリームの特徴


デリケートクリームってどんなクリームなの?

デリケートクリームとは保湿と栄養補給に特化した靴クリームの事です。
通常、油性や乳化性の靴クリームは艶を出す為に蝋(ろう)分が含まれていますがデリケートクリームの場合はほとんど含まれていません。
成分のほとんどが水分と油分で構成されており、潤いと栄養補給に特化したクリームと言えます。
蝋分 | 水分 | 油分 | |
デリケートクリーム | 少ない | 多い | 少ない |
油性靴クリーム | 多い | 少ない | 多い |
乳化性靴クリーム | 普通 | 普通 | 普通 |
デリケートクリームの最大の特徴は水分の多さです。
浸透力が高く、クリームが柔らかく伸びがいいので扱いやすく手入れに慣れていない方にも扱いやすいクリームです。
クリームのほとんどが水分で構成されているので特に潤いの補給に特化したクリームと言われています。

乾燥した靴にはデリケートクリームを塗った方がいいって言われているもんね。
また、油分が他のクリームと比べて少ないのも特徴の1つ。
靴クリームの場合は塗った後に表面にべた付きが残りますが、デリケートクリームの場合はほとんど残らずサラッとした仕上がりになります。

シミになりにくいのもデリケートクリームの大きなメリットです。
革靴にクリームを塗ってシミになる原因には次の理由が挙げられます。
- 乾燥した部分に急激に油分が浸透した為
- 油分が紫外線によって酸化
この2つが大きな理由として考えられており、どちらの原因もクリームに油分が含まれている為に発生してしまう症状になります。
その点、水分量が多く油分の少ないデリケートクリームを使用する事でシミになりにくいとされています。
カラーは様々なメーカーから販売されていますが基本的にはニュートラル(無色)です。
靴の補色を考えるならデリケートクリームではなく靴クリームやアドカラーなどで補修するようにしましょう。
ほとんどの革で使用する事ができる

デリケートクリームは起毛素材のような生地を除いてレザーアイテム全般に使用する事ができます。
特に革靴では次の2つの素材の手入れの時に重宝される事が多いです。
- ヌメ革 ・・・ クリームを吸収しやすい
- ラム・シープ ・・・ シミになりやすい
また、革靴だけではなく財布、キーケース、レザーシート、レザージャケット、レザーベルトなどにも使用する事ができるので非常に汎用性が高いクリームだと言えます。

1つ持っておくと重宝するクリームだね!
保湿効果は高くない

水分量の多いクリームと紹介しましたが、その分クリーム内の水分が揮発しやすく革の表面に残りづらいので保湿効果はそこまで高いとは言えません。

また、水分量が多いので油分などの栄養分の割合も靴クリームと比べるとあまり多くありません。
デリケートクリーム1つだけでは油分の補給ができないと言われていて「これ1本だけで手入れは完璧」というクリームではないという事は覚えておきましょう。
他のクリームとの違い

デリケートクリームについて検索してみるとよく見かけるのが「他のクリームとの違いが分からない」という意見です。
今回は革靴に栄養補給する際に使用されるクリームを分かりやすく4種類に分類してみました。
- デリケートクリーム
- 靴クリーム
- 保革ローション
- 万能ローション
それぞれの特徴を簡単にまとめたのが下の表です。
商品 | 水分 | 油分 | 補色効果 | 汚れ落とし | 詳細 |
![]() デリケート クリーム | 多い | 少ない | 無し | ※無し | 詳細を見る |
![]() 靴クリーム | 少ない | 普通 | 可 | ※無し | 詳細を見る |
![]() 保革ローション | 普通 | 多い | 無し | 無し | 詳細を見る |
![]() 万能ローション | 普通 | 普通 | 無し | 効果あり | 詳細を見る |
デリケートクリームとそれぞれのクリームにどのような違いがあるのかもう少し掘り下げていきましょう。
今回はデリケートクリームでは最も有名な「M.モゥブレイ デリケートクリーム」を参考に紹介させて頂きます。
靴クリームとの違い
靴クリームとはその名前の通り、靴の手入れの為に作られたクリームの事です。
その中でも蝋分が多く光りやすいクリームを「油性クリーム」、水分を含みクリームの伸びが良い「乳化性クリーム」に分けられています。

今回は靴クリームの中でも定番のクレム1925の成分を見ていきましょう。
- クレム1925の成分
- ろう、油脂、有機溶剤
革に栄養を与える油脂、艶を出すろう、成分を上手く混ぜ合わせる為の有機溶剤で作られています。
靴に栄養を補給しつつ艶を出せるクリームという事が分かります。
続いて、デリケートクリームの成分を確認してみます。
- デリケートクリームの成分
- ラノリン、油脂、有機溶剤
ラノリンとは革の柔らかさを保ちつつ保湿力を高める成分です。
羊の皮脂腺から分泌される油脂を精製したもの。
自重の倍の量の水分を含む事ができるので高い保湿力が期待できます。
一番の違いはろう分が含まれているかいないか。
靴クリームを塗る目的は「栄養補給、補色、艶出し」なのに対してデリケートクリームは「栄養補給」に特化したクリームという事が分かります。

靴クリームには色付きのクリームを使用する事で、補色効果も期待する事ができます。
ただし、油分が多いので乾燥している革に使用するとあっという間にクリームの成分が浸透してしまいシミになってしまう事も・・・。
デリケートクリームは水分が多いので靴クリームと比べるとシミになりにくいですが、油分が少ないのでこれ1本でOKといったクリームではありません。
- 靴クリーム ・・・ 普段の手入れ、艶を出したい靴、色落ちを補修する
- デリケートクリーム ・・・ 乾燥している靴、購入直後の靴
この様に靴の状況や目的に応じて2つのクリームを併用するのがベストだと言えます。
保革ローションとの違い
保革ローションは油分の補給に特化したローションの事です。
革に柔軟性を与える成分や浸透を助ける成分が配合されており、ローション状にすることで油分の浸透するスピードを抑えシミになりにくいといった特徴があります。

乾燥してしまった靴や新品の靴でも安心して使えるね!
デリケートクリームは潤いの補給がメインなのに対し、保革ローションは油分(栄養補給)がメインの道具になります。
万能ローションとの違い
万能ローションで有名なのがサフィールのユニバーサルレザーローションです。
万能ローションは汚れ落とし、艶出し、栄養補給、革に柔軟性を与えるなど様々な作業をまとめてこなせる非常に便利なクリームです。

靴磨きではクリーナーや靴クリーム、ワックスなどを使って細分化している作業をまとめてできるアイテムです!
便利な一方で良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏と言った側面があり作業を細分化した場合と比較すると見劣りしてしまう点があります。
潤いの補給に特化したデリケートクリームと、程よく全工程を手入れする万能ローションと明確な違いがあります。
万能レザーローションは汚れ落としから艶出しまでこれ1本で行う事ができるので、靴クリームが浸透しづらいガラスレザーや合皮などの靴の手入れにおすすめです。


個人的に『万能ローション』だけでは潤いの補給が足りないと感じているので、『デリケートクリーム』との併用がおすすめです!
デリケートクリームの使い方

次にデリケートクリームの使い方を見ていきましょう。
靴クリームと同様に指先に少量とり全体に薄く広げていくのがポイントです。足りなくなった場合はまた少量指に取り補給するようにしましょう。
1回に取る量はデリケートクリームに指を載せて、指先に付着する量でOKです。

ここでポイントになるのが指で直接塗る事。
指で塗る事でクリームが指先の体温で温められクリームの成分が革に浸透しやすくなります。
ペネトレイトブラシを使ったり布に取る方法もありますが指で直接塗るのがおすすめです。

シミになりにくいクリームと言われていますが、最初に塗る場合はカカトやサイドなど目立たない部分に塗って確かめる事も忘れずに!
色が薄い革靴に塗ると色が濃くなってしまう事がありますがデリケートクリームが乾燥してくれば色が落ち着いてくるので心配はいりません。
デリケートクリームを塗るタイミング

次にデリケートクリームを使用するタイミングを3つ紹介します。
- 靴を購入した後(プレメンテナンス)
- 靴が濡れてしまった後
- 靴の内側(ライニング)に塗る時
- 艶を出したくない靴を手入れする時
順番に解説していきます。
靴を購入した後(プレメンテナンス)

靴を購入した直後は手入れが不要だと思う方も大勢いらっしゃると思いますが、購入直後の靴は次の理由で乾燥している事があります。
- 長期間手入れされていない
- 倉庫などで保管されていた
- 店頭で長期間展示されていた
なので、デリケートクリームで潤いと栄養を補給することをおすすめします。
デリケートクリームをワンクッション挟む事で乾燥している靴に急激に油分が浸透してしまう事を防ぐ事ができます。

何も考えずにそのまま履いたり靴クリームを塗り込むとクラック(ひび割れ)が入ってしまったり、シミの原因なってしまう事も・・・。
そうした靴トラブルを未然に防ぐ為に購入直後のメンテナンスの事を「プレメンテナンス(プレメンテ)」と言います。
「なぜ購入直後の靴が乾燥している可能性が高いのか?」、「プレメンテナンスはどのように行うのか?」についてはこちらのブログで紹介しています。

靴が濡れてしまった後

雨に降られて靴が濡れてしまうと乾燥する時に靴から潤いが抜けてしまい革が固くなります。
「革靴を雨で濡らすのは厳禁」と思われている方も多いですが問題なのは「靴が雨に濡れてしまう」ことではなく「雨に濡れてしまった靴をそのままにしておく」という事。
乾燥した状態の靴は柔軟性が足りず、そのまま履き続けると履きジワ部分からひび割れてしまいます。
そうならない為にも雨に濡れてしまった靴を乾燥させた後に、抜け落ちてしまった水分と栄養の補給に特化したデリケートクリームを使用しましょう。

最も乾燥した状態の時は艶を出す事まで考える必要はありませんので、油性や乳化性の靴クリームよりもデリケートクリームを使うようにしましょう!
靴の内側(ライニング)に塗る時

デリケートクリームを靴の内側に塗り込む事で革が柔らかくなり履き心地を向上させる事ができます。
靴磨き専門店でも使われている本格的なテクニックです。
- 靴ズレがひどいカカト部分
- 小指の外側
- 足の甲
など、普段履いていて痛みを感じる部分に塗り込むと革が柔らかくなり痛みを軽減させる事ができます。
靴クリームなどの場合は蝋分が含まれているので滑りやすくなるのでライニングには不向きと言えます。

デリケートクリームだからこそできる使い方だね!
塗る時のポイントとしてデリケートクリームを革の表面部分にのせるというよりも革に押し込む様に強く塗り込む事。

塗り込んでいくうちに徐々に革が柔らかくなってくきますよ!
その状態で履くと履き心地が劇的に改善されている事に気が付くと思います。
この作業を履く前に繰り返す事で靴が自分の足の形に馴染みやすくなり、痛みを抑えながら靴を育てる事ができます。

あえて小さめのサイズを購入している人たちもよくやっている方法だよね!
艶を出したくない靴を手入れする時

デリケートクリームは蝋分を含まない保湿がメインのクリームです。
なので、デリケートクリームで手入れを行った靴は艶が出ずにマットな仕上がりになります。

艶を出したくない靴の手入れには最適です!

靴クリームは簡単に艶が出るから嬉しいんだけどね!
仕上がりをイメージして使い分ける事が大事だね!
デリケートクリームの注意点

次にデリケートクリームを使う際の注意するポイントを紹介します。
- 使えない革がある
- 光沢がでない
- 革の表面を保護する働きがない
使えない革がある

ほとんどのレザー製品に使用できると紹介しましたが中にはデリケートクリームも使えない革があります。
- 起毛素材(スエード・ヌバック)
- エキゾチックレザー(爬虫類)
- エナメル皮革
スエードやヌバックは革の裏側を毛羽立たせたものです。ティンバーランドのヌバックシューズは有名ですね。
起毛素材の物に使用すると起こしてある表面の毛が全て寝てしまいのっぺりとした表情に。

起毛素材特有の柔らかい見た目じゃなくなっちゃうよ。
エキゾチックレザーに関しても扱いが難しい素材が多く、「デリケートクリームの使用を推奨している素材」や「使用を控える素材」など様々です。
このようなデリケートな素材に関しては購入したメーカーや店舗にて確認してから使用するようにしましょう!

後ほど紹介しますが、ウレンズのデリケートクリームはエキゾチックレザーやエナメル皮革の使用ができます!
光沢が出ない

先程、成分を細かく見ましたが靴クリームとは異なりデリケートクリームには蝋分が含まれていません。
なので、デリケートクリームを塗っただけでは艶は出ずにマットな仕上がりになります。

革靴は光沢が出ていた方が高級感が出るから、艶が出ないのはちょっと気になるね。
艶を出したくない靴の手入れには最適と言えますが、艶を求める場合にはデリケートクリームだけでなく靴クリームやワックスを使用するなどの追加の手入れが必要になります。
革の表面を保護する働きがない

デリケートクリームは蠟分を含まないので革の表面をコーティングする働きが殆どありません。
靴磨きで靴の表面に蝋分を塗る理由には次のような物があります。
- 水濡れからの保護
- 汚れからの保護
- 傷からの保護
- 見た目の向上

蝋分が含まれていないって事は、こうしたメリットがなくなっちゃうのか~。

自分もワックスを厚く塗っておいたお陰で、傷がついてしまってもワックスを落としたら革は無傷だったって事が何度もありました。
靴は常に地面に接しているのでぶつけてしまったり水に濡れやすいといったリスクがあります。
デリケートクリームのみで仕上げる場合は元々こうしたトラブルに強い靴を履くなどの対策が必要です。
デリケートクリームのおすすめは?

デリケートクリームで代表的なクリームを紹介します。
- M.MOWBRAY デリケートクリーム
- WREN’S(ウレンズ)デリケートジェル
- サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム
M.MOWBRAY (エム.モゥブレィ) デリケートクリーム
デリケートクリームの定番中の定番の商品です。迷ったらこれを購入しておけばOKと断言できる商品です。
オールインワンジェルのようなジェル状のクリームで非常に塗りやすく価格も他のデリケートクリームと比較しても安価なので最初の1うにはもってこい商品です。

WREN’S(ウレンズ) デリケートジェル
「WREN’S」は1889年にノーザンプトンに設立されたブランド。
馴染のないブランドですが約30年にもわたり英国王室御用達だった事もある歴史と実績を兼ね備えたブランドです。
天然由来の芳香剤のような香りと「ジェル」という名前の通り粘度のある使用感が特徴。

基本的にはデリケートクリームと同じと考えて頂ければOKです!

サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム
ワックス、有機溶剤が含まれておらず、どんな靴にも使用する事ができます。

靴だけでなく鞄や財布などのレザーアイテムにも使用する事ができるよ!
レビューを拝見して頂ければ分かりますがサフィール特有の独特の臭いがあるので向き不向きがあります。
ペースト状になっていて非常に扱いやすくクリームです。

まとめ
- デリケートクリームは潤い&栄養補給に特化したクリーム
- 購入直後・濡れた靴・痛みがある部分の使用がおすすめ
- 迷ったらM.モゥブレィのデリケートクリーム
一番最初に購入しなければならない道具ではありませんが、靴以外のレザーアイテムにも使えますしあって困らない商品です。
靴磨きに慣れてきたら早い段階で購入するべきアイテムですので、今回のブログを参考にして購入を検討してみて下さい。
コメント