
プレメンテナンスとは?革靴を購入したらやるべき2つの事

- 新品の革靴って手入れをした方がいいの?
- 『プレメンテナンス』って何?
新しく革靴を購入したらそのまま履いてしまうという方も多いと思います。
しかし、新品の革靴をそのまま使用するのは様々なリスクがあるので履き下ろす前に一度手入れを行う事が推奨されています。
この最初に行う作業の事を「プレメンテナンス」と言います。

「プレメンテ」、「プレケア」とも言います。
今回のブログでは『プレメンテナンス』について解説します。
- プレメンテナンスを行う理由
- 必要な道具
- プレメンテナンスの具体的な方法
プレメンテナンスを行わずに靴を履いてしまうと、履きジワ部分にクラック(ひび割れ)が入ってしまい最悪の場合は修理が必要になる事もあります。
その理由を含めプレメンテナンスの重要性をどこよりも簡単に解説します。
是非、最後までご覧ください。
プレメンテナンスとは?


『プレメンテナンス』ってどんなお手入れの事を言うの?
プレメンテナンスは新品の靴を履き下ろす前に1度だけ行う手入れの事です。

革靴の手入れするタイミングは大きく分けて3つあります。
- プレメンテナンス
- デイリーケア(デイリーメンテナンス)
- フルメンテナンス

手入れにも色々種類があるんだね!
この3つはどんな違いがあるの?
それぞれの手入れの特徴を簡単にまとめてみました。
手入れするタイミング | 作業時間 | 作業内容 | 使う道具 | |
プレメンテナンス | 新品の靴を 履き下ろす時 | 15分~ | 汚れ落とし 栄養補給 | ブラシ 各種クリーム クリーナー |
デイリーケア | 毎日履き終わった後 | 1分~ | 汚れ落とし | ブラシ |
フルメンテナンス | 定期的 | 30分~ | 汚れ落とし 栄養補給 艶出し | ブラシ 各種クリーム クリーナー ワックス |
それぞれの手入れ内容によって作業時間や内容、使う道具も変わってくる事がお分かり頂けると思います。

プレメンテナンスは靴を購入した後に1度だけ行います。
それぞれの手入れ方法の詳細についてはこちらのブログで紹介しておりますので、併せてご覧ください。

プレメンテを行う理由


そもそもプレメンテってなんで必要なの?
プレメンテナンスを行う理由は大きく2つあります。
- 購入した靴は潤い・水分が抜けきっている可能性が高い
- 靴の履き心地を向上させる
購入した靴は潤い・水分が抜けきっている可能性が高い

革靴の天敵は『乾燥』と『水濡れ』です。
乾燥した状態の靴や水に濡れてそのまま放置してしまった靴は潤いが足りず、柔軟性が失われてしまい革が固くなってしまいます。
また水に濡れた靴を放置してしまうとカビや悪臭の原因につながり、革に染み込んだ水分が抜ける時に革が乾燥してしまうのでシミになりやすくなります。

でも、新品の靴だから手入れなんて必要ないんじゃないの?
自分も靴磨きに興味を持つまでは同じ意見でした。
ほとんどの革靴は出荷されるタイミングではメンテナンスをされた状態で出荷されます。
しかし製造されてから倉庫での保管や、小売店までの搬送、店頭に並んでいるまたは在庫で保管されている期間を考慮すると私たちの手元に届くまでにかなりの時間が経過してしまいます。

他にも、小売店でこのような事も考えられます。
- なかなか売れずに長期間、倉庫で保管さえていた
- 店員によって定期的にメンテナンスをされていてそれほど乾燥していない
- 数週間だけど展示品の為、蛍光灯に照らされ続けて乾燥している
栄養補給の為に塗った靴クリームも時間が経過すると酸化してしまい、革の呼吸を邪魔する原因になるので長期間放置してしまうと悪影響を与えてしまいます。
オーダーで製作して完成したらすぐに自分の手元に届くような場合なら別ですが、革靴がどのような状態で手元に来るかは自分では判断する事が難しいです。

自分の購入した靴がどのような状態なのかは、靴に関する知識がないと判断するのが難しいです。
乾燥した状態の革靴を履いてしまうと靴トラブルに直結してしまいます。
なので『最悪の状態で手元に届いている』と判断して、プレメンテナンスを行うようにしましょう。
靴の履き心地を向上させる

プレメンテナンスを行う2つ目の目的は『靴の履き心地を向上させる事』です。
乾燥している靴や新品の状態で足に馴染んでいない状態の靴は革が固くなっており、履き心地が悪い状態になります。
靴を履き下ろす前にプレメンテナンスをする事で潤いを補給でき、革が柔らかくなるので履き心地を向上させる事ができます。

クリームは革の表面だけじゃなくて、靴の内側の足が当たる部分に塗るのがおすすめだよ!
靴ズレができる部分、足の甲、小指の骨など普段履いていて痛くなる部分にあらかじめクリームを塗り込んでおきましょう。
すると革が柔らかくなるので履き心地が良くなります。
自分も靴を購入するた度に靴ズレや骨が当たる部分の痛みに悩まされていたので、プレメンテナンスの時にデリケートクリームを入れるようにしました。

これらの悩みから解消されました。
靴の内側にデリケートクリームを塗る時には注意する事が2つあります。
- 履く前日~当日にクリームを塗る
- 無色のクリームを使う
デリケートクリームは水分量が多いクリームなので、塗ってから時間を置きすぎてしまうと水分が抜けてしまい固い状態に戻ってしまいます。

デリケートクリームを入れるタイミングは、靴を履く前日から当日の履く前がおすすめです!
クリームを入れるタイミングは、靴を履く前日から当日にするようにして下さい。
色付きのクリームを使うと靴下に色が移ってしまう可能性があるので、内側に塗るクリームは無色のものにしましょう。

プレメンテナンスで使う道具

次にプレメンテナンスで使用する道具を紹介します。
- 馬毛ブラシ
- デリケートクリーム
- レザーソールクリーム
- クリーナー
- 布(ネル)
馬毛ブラシ

靴の表面に付着したホコリなどを払い落とします。
特に展示されていた靴は表面にホコリが付着している場合が多いので、入念にブラッシングします。

どんな手入れでも使用するブラシなので手に入れておきましょう。

デリケートクリーム

蝋をほとんど含まず水分補給に特化したクリームです。
普段の靴磨きの時に使用している油性クリームや乳化性クリームよりも、乾燥している靴の水分補給に向いています。
プレメンテナンスの場合はデリケートクリームを優先して使用します。

シミになりにくいので気にせず塗れる点もうれしいポイント!
プレメンテナンスでは一般的にデリケートクリームが使用されていますが、他にもおすすめの手入れグッズがあります。
- レーダーオイル
- レノベイタークリーム
レーダーオイル
レーダーオイルは「栄養補給」と「汚れ落とし」を同時に行える、自然由来の成分にこだわったシューケアグッズです。

特に油分の補給に優れており乾燥している靴のケアにおすすめです。
レノベイタークリーム
レノベイタークリームは「栄養補給」を行いつつ革に柔軟性を与え、光沢を出す事ができる非常に優れたクリーム。
靴クリームよりも油分が抑えられているので、プレメンテナンス等の乾燥した靴を手入れする場合におすすめです。

ソールクリーム

レザーソールクリームはレザーソールの栄養補給を行う為の「革底専用クリーム」の事。
見落としがちですが、レザーソールも革で作られているので使い続けているうちに油分や水分が抜けていきます。

こうしたクリームで定期的に栄養補給を行いましょう!
靴クリームで代用されている方もいらっしゃいますが、自分はソール専用の物をおすすめします。
理由は次の2点です。
- 蝋分が入っていないので滑りにくい
- 防カビ剤が入っている
レザーソールクリームは指で塗り広げるのは大変なので「豚毛ブラシ」や「布」を使用すれば効率良く塗り広げる事ができます。
特にコシの強い「豚毛ブラシ」はカカトの部分など、細かい部分もしっかり塗り広げる事ができます。

豚毛ブラシって言っても大きすぎてやりにくいよ~。
靴磨きの際に使用している豚毛ブラシはサイズが大きくソールのケアでの使用はちょっとオーバースペックになってしまいますね。
なので取っ手つきの小回りの利くブラシや、ペネトレイトブラシがおすすめです。
クリーナー

前回の手入れの際の古いクリームやワックスを落とす際に使用します。
ごく稀に展示用にワックスが塗ってある場合がありますので、油性の汚れと水性の汚れのどちらの汚れにも強いツーフェイスローションがおすすめです。
布

「汚れ落とし」・「余分なクリームを拭き取る」など、プレメンテナンスの様々な場面で使用します。

『ネル生地』のような柔らかい素材の布が、他の手入れの際にも流用できるので使い勝手がいいです!
『鏡面磨き』のような艶を出す時の手入れの際には柔らかい布がおすすめですが、今回の作業は汚れ落としがメインになるので気にしなくてもOKです。

「着る機会がなくなったTシャツ」や「使い古したタオル」なんかでも大丈夫だよ!
Amazonなどのネットショップでも靴磨き用の布が販売されていますが、価格が高めに設定されているのであまりおすすめはできません。
自分で大き目の布を購入してカットする事でコストを抑える事ができるので、靴磨き用の布を購入しようと考えている方はこちらのブログを参考にしてみて下さい。

プレメンテナンスのやり方
次にプレメンテナンスの手順を見ていきましょう。
- レザーソールクリーム
- 馬毛ブラシでブラッシング
- クリーナーで汚れ落とし
- デリケートクリーム
動画でも分かりやすく紹介していますので併せてチェックしてみて下さい。
① レザーソールクリームでレザーソールのケア

まず最初にソールクリームを使用してレザーソールのケアを行います。
レザーソールのケアを最初に行う理由は「レザーソールが最も汚れている部分だから」です。
アッパーを手入れした後にレザーソールの手入れを行うとソールに付着した汚れが飛び散ってしまい、せっかく手入れをしたアッパー部分に汚れが飛び移ってしまいます。

新品の靴なので汚れていないとは思いますが、他の手入れの時と手順を揃えておけば覚えやすいですよね!
レザーソールの手入れの順番は次の通りです。
- 表面の汚れ落とし
- レザーソールクリームを塗る
- 余分なクリームを拭き取る ※省略可
- レザースティックで表面をならす
レザーソールの詳しい手入れ方法についてはこちらのブログで詳しく紹介しております。

また、動画でも手入れ方法を紹介しておりますので併せてご覧ください。
なお、この作業はゴム製の靴底の『ラバーソール』等の場合は行わなくてもOKです。

ラバーソールの汚れが気になる場合は、濡らしたタオル等で拭き取
りましょう!
② 馬毛ブラシでブラッシング

馬毛ブラシでブラッシングをして革靴の表面の塵やホコリ、花粉といった汚れを払い落とします。
馬毛ブラシは毛が柔らかいブラシなので靴を傷つけません。

少し強めにブラッシングをしてもOKです。
アッパーとソールの間の縫い目の部分や、普段はあまり手入れをしない羽の内側部分などホコリが貯まっていそうな部分を入念にブラッシングします。
③ クリーナーで汚れ落とし

馬毛ブラシでのブラッシングが完了したら次は、クリーナーを使って古いクリームやワックスを落としていきます。
時間が経過して古くなったクリームやワックスは落としづらいので1回で落とそうとするのではなく、回数を重ねて少しずつ落とすようにしましょう!
1回で綺麗に使用として強く擦ってしまうと、汚れを落とすだけでなく革靴にダメージを与えてしまう場合があります。
少しずつ時間をかけて落とす様に意識しましょう。

完璧に落としたいけど、クリーナーの使い過ぎは古いクリームを落とす以上に革に負担になっちゃうからある程度の所でストップしておこうね!
目安としては布に古い靴クリームがうっすらと付着する程度まで落とす事ができればOKです。

④ デリケートクリームで栄養補給

最後にデリケートクリームを塗り込んでいきます。
靴全体に塗り込んでいき、特に履きジワの入る部分は入念にデリケートクリームを塗り込みましょう。

先ほども紹介した通り、このタイミングで靴の内側にもデリケートクリームを塗る事をおすすめします。
普段靴を履いた時に痛いと感じる部分に予め塗り込んでおけば、その部分の革が柔らかくなっているので痛みを軽減する事ができます。
靴の内側にクリームを塗る時は、アッパー部分に塗る時とは異なり革に押し込む様に塗る事でより効果を実感する事ができます。

ちょっと怖いけどクリームを革の奥に押し込むようにマッサージをしながら塗ってみよう!
力を入れて押し込んで指先が白くなる程度に塗っていきましょう。
履き下ろす前の最低限の手入れは完了しているので、このまま履く事もできます。
ただしデリケートクリームには蝋分が含まれていないので革靴がマットな仕上がりになってしまいます。

艶感を出したい方はこの後に続いて「フルメンテナンス」を行いましょう。


途中まで手入れが済んでいるので、こちらのブログに紹介されている手順の④番から続けていきましょう!
まとめ
今回はプレメンテナンスの方法について紹介させて頂きました。
自分もプレメンテナンスの事を知るまでは「新品の靴はそのまま履いても大丈夫」と考えていましたが、こうした事情があるとしりとても勉強になりました。
履き始めのちょっとしたひと手間ですが、革靴はきちんと手入れを行えば10年以上履き続けられるのできちんとプレメンテナンスを行い長く履き続けられるようにしましょう。
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