- アーティストパレットって最近よく見るけどどんなクリームなの?
- 他のクリームと比べて何が違うの?
- 値段が高いけど購入する価値はあるの?
靴クリームと言っても1,000円以下の物から2,000円を超えるものまで様々な商品が販売されていてどのクリームを選べばいいのか分からなくなってしまいます。
その中で2,000円を超えるアーティストパレットという靴クリームはいったいどんな商品なのか気になりますよね。
そんな方の為に2017年からアーティストパレットを愛用している自分がこのクリームの特徴や使用感について解説したいと思います。
このブログをご覧いただければ次の内容がご理解頂けます。
- アーティストパレットの特徴
- アーティストパレットの使い方
- 実際に使用しての磨き&仕上がり
アーティストパレットの特徴を理解する事でよりクリームの性能を発揮できるようになります。
是非、最後までご覧ください。
アーティストパレットとは?


アーティストパレットってどんな靴クリームなの?

アーティストパレットはシューケアメーカーの老舗「コロンブス」が販売する靴クリームの事です!
靴磨き好きなら知らない人はいない「コロンブス」。
そんなコロンブスの商品の中でも一流のシューシャイナーの意見を取り入れているのが「ブートブラック(Boot Black)シリーズ」で、アーティストパレットはブートブラックの中でもコロンブスの拘りが詰まった靴クリームです。
タンナー様から靴小売店様にいたるまで、すべての皮革関連業態に90年以上の長きに渡り、靴仕上げ剤・靴クリームを提供してきた株式会社コロンブスが、その知識と開発力を結集して作り上げた、ジャパンメイドのニューブランド”BootBlack”シリーズ。
靴がその存在感を主張し始めた昨今、お客様一人一人のご要望を具体化し、オリジナルな靴を作り上げるために活動している当社”トップシャイニスト”の独自の判断基準を採用し、「磨きのプロ達」が創りあげた、それが”BootBlack”シリーズです。
出典:コロンブス

ブートブラックはコロンブスの商品の中でも特に人気の高いシリーズです。
靴クリームは長らくの間、サフィールノワールの「クレム1925」の1強状態。
そんな状況に終止符を打つためにコロンブスが開発までに2年の歳月をかけて作った靴クリームがアーティストパレットでした。

アーティストパレットはクレム1925を超えるクリームを作ろうとコロンブス社が研究を続けて完成したクリームなんだって!
アーティストパレットの特徴

次にアーティストパレットがどんな靴クリームなのか詳しく見ていきましょう。
商品名 | アーティストパレット |
メーカー | コロンブス |
内容量 | 35g |
金額 | ¥2,200 + tax |
主成分 | ろう、油脂、有機溶剤 |
種類 | 油性クリーム・顔料ベース |
カラー | 全20色 (別注除く) |
アーティストパレットの特徴として挙げられるのが次の3つです。
- 油性クリーム
- 豊富なカラーリング
- 顔料ベースで色がのりやすい
順番に解説していきます。
油性クリーム
靴クリームは大きく分けて2つの種類に分類されます。
- 乳化性クリーム
- 油性クリーム
靴の栄養である「油脂」と艶を出す「蝋」、そしてそれらの成分を上手く混ぜ合わせる有機溶剤をベースに水分を加えたものが「乳化性クリーム」、水分を含まないものが「油性クリーム」になります。

アーティストパレットは油性クリームに分類されます。
油性クリームは水分を含まない分、蝋分や油脂の含有量が多くなるので乳化性クリームと比べると簡単に艶を出す事ができます。
一方で水分を含まない為、クリームの成分が靴に浸透するスピードが速く普段手入れをしていない乾燥した靴に使用したり手早く作業を行わないとシミになってしまう可能性があります。

また、クリームの伸びが悪く塗りムラになりやすいというデメリットも挙げられちゃうよ。
油性クリームと乳化性クリームを指先にコーヒー豆1粒分とり、どれだけクリームが伸びるのか比較してみました。

写真で見比べてみても油性クリームの方が伸びが悪いのが分かるね!
これらの特徴から油性クリームに分類される靴クリームは中・上級者向けとして紹介されています。
- 艶を求めるなら「油性クリーム」
- 使いやすさを求めるなら「乳化性クリーム」
と、覚えておきましょう。
靴クリームの油性と乳化性の違いについてはこちらのブログで詳しく解説しています。
豊富なカラーリング

アーティストパレットはカラーバリエーションが豊富です。
定番のナチュラルやブラックからマイナーなカーまでなんと全22色が販売されています。

特に赤系と茶系の2色は色のバリエーションが豊富でコロンブスの拘りが感じられるね!
赤系 | ルージュ カンパリ ダークチェリー マホガニー ウイスキー ローズボルドー |
茶系 | マスタード コニャック チェスナット シガー ブリティッシュブラウン |
この2色は靴によって色合いが全く違うから豊富にカラーが展開されていると助かりますね。
また通常販売されているカラーの他にも名古屋の靴磨き専門店「GAKU YAMAZAKI」では別注カラー「ブリディッシュブラウン」や「ローズボルドー」などが限定販売されていました。

「ローズボルドー」はAldenの#8カラーに合うように作られた別注カラーだそうです!
今後も、このように限定カラーとして販売された物がラインナップに追加されカラーバリエーションが増えていく事が期待できますね。

靴のカラーが多いとどんなメリットがあるの?

靴クリームのカラーが多い事のメリットは次のような事が挙げられます。
- 靴に合う色を選んで補色できる
- クリームを混ぜる時に色を再現しやすくなる
靴に合う色のクリームを使用する事で、靴をぶつけてしまい色が剥げてしまった場合に補色する事ができ色落ちを目立たなくなります。
手入れの時にあえて靴の色よりも少し濃い色のクリームを使用して履き込んだ印象を与える「アンティーク磨き」と呼ばれるテクニックの際にも色が多いと非常に重宝します。

また、カラーが多い事の最大のメリットは『クリームを混ぜる時に同じ色が再現しやすくなる事』だと思います。
黒やダークブラウンなどの濃い色の靴だったら問題はないのですがそのような色の靴ばかりではなく、既製品の靴の色を混ぜ合わせなければ近い色を作り出せない色の靴も多数存在します。

クリーム混ぜて自分の靴に合う色のクリームを作る事ができても、次も同じ色を再現するのは難しいです。
しかし、カラーバリエーションが多ければ自分の靴に近い色のクリームを選ぶ事ができれば混ぜる色の量が激減するのでクリームを自作する時にも再現しやすくなります。
顔料ベースで色がのりやすい
靴クリームの色の着色方法は『顔料』と『染料』に分けられます。
顔料と染料がどの様に違うのか図にわかりやすくまとめてみました。

顔料 | 染料 |
クリームが表面に残る | クリームが革に浸透する |
色が表面に付着して色がのりやすい | 長く使い続けることで靴クリームの色を 靴に浸透させる事ができる |
補色、アンティーク磨きなどにおすすめ | 靴を育てたい方におすすめ |
アーティストパレットは顔料ベースのクリームになります。
顔料ベースのクリームはクリームのカラーをそのまま革の上に乗せる事ができる為、豊富なカラーバリエーションをフルに発揮する事ができます。

同じ色のクリームをのせて統一感を出してもいいですし、あえて別のカラーを使用する事で普段とは違った仕上がりを楽しむ事ができます。
また、顔料ベースのメリットとして「クリーナーで簡単にクリームを落とす事ができる」という事が挙げられます。
染料ベースのクリームは塗り込むと成分・色が革に浸透するので靴にクリームの色が残りますが、顔料ベースのアーティストパレットは表面に色が乗っているだけなのでクリーナーで拭き取る事で簡単に落とせます。

汚れ落としをして、また別の色のクリームを使用すれば新しい色をのせる事ができるなんて靴磨きが楽しくなりそう!

カラーが豊富&顔料ベースという特徴を活かして様々なカラーで遊ぶ事ができます!
クリームの色を浸透させて靴を育てるという事は期待できないのでその点は注意しましょう。
アーティストパレットの成分

主成分は次の3種類が表記されています。
- ろう
- 油脂
- 有機溶剤
細かい成分や配合については企業秘密なので公開されていませんが「天然アルガンオイル」が配合されている事が分かります。
天然アルガンオイルには次のような特徴があります。
- 肌に良い成分が多く含まれている
- 保湿力が高い
上記の理由から美容オイルとして利用される事が多いとても有名な成分です。

乾燥は靴の天敵なので、革の劣化を防ぎながら保湿に優れているアルガンオイルは非常に理にかなった成分だと言えます。
また、アーティストパレットの特徴としてクリームの香りにこだわっているのもポイント。

アーティストパレットって靴クリーム特有の有機溶剤のつーんとした嫌な臭いがあんまりしないよね!
靴磨きをしながら香りも楽しめるように工夫されているようです。
アーティストパレットの使い方
次にアーティストパレットを使って実際に磨きの手順について解説します。

- ※馬毛ブラシ
- ※クリーナー
- 豚毛ブラシ
- アーティストパレット
- 水
- 布(ネル)
ここでは馬毛ブラシを使ったホコリ落とし~クリーナーを使った古いクリームやワックスを落とす作業については省略しております。
馬毛ブラシおよびクリーナーを使った靴磨きの手順についてはこちらのブログで解説しておりますので使用方法が分からないという方は併せてご覧ください。
今回、紹介する手入れの手順は次の通りです。
- アーティストパレットを塗る
- 豚毛ブラシでブラッシング
- 水で磨く
今回の手入れの手順はコロンブスの公式Youtubeで紹介されている動画を参考にしております。
気になった方はチェックしてみて下さい。
① アーティストパレットを靴全体に塗る

アーティストパレットを靴全体に塗ります。
指先にコーヒー豆1粒分の量をとり、靴全体に塗り広げていきます。
塗り始める際にはかかとやサイド部分などの目立たない所で塗ってみてシミにならないかチェックしましょう。
クリームを塗る時は指で直接塗っても、布を指に巻いて塗ってもどちらでもOKです。

乾燥している靴に塗る場合は先にデリケートクリームなどを使用して水分を補給してから塗るのがおすすめです!
アーティストパレットを塗る時には円を描く様に塗り広げる事で塗りムラができにくくなります。
面倒ですが少量ずつクリームをとって足りなくなったら再度、少量ずつ補充するようにしましょう。
アーティストパレットを塗り込んでいくと靴の表面が蝋分で白く曇ってきます。

これが栄養補給が完了した合図になりますので他の部分を塗りましょう。

白い膜で靴全体を覆えたら完了です!
② 豚毛ブラシでブラッシング
次に豚毛のブラシで靴全体をブラッシングします。

豚毛ブラシでブラッシングを行う目的は次の2つが挙げられます。
- 革のマッサージ
- クリームの成分を浸透させる
- 余分なクリームを弾く
上記の目的があるのでブラシがけは優しく行うのではなく音を立てるくらい強めにブラッシングをしましょう。
ブラッシングをしていくと先程まで表面を覆っていた蝋分の曇りがなくなります。

靴全体の曇りがなくなったら完了です。
③ 少量の水で靴全体を磨く
最後に靴全体を少量の水で磨いていきます。

磨く面に2~3滴の水をのせて布のきれいな面で磨きます。
この時に固くゴワゴワした布を使用すると磨いた部分に小傷が残ってしまうのでネル生地のような柔らかい布を使用するようにしましょう。
縦横様々な角度から磨く事でよりきれいな光沢を出す事ができます。
④ 完成
こちらが完成した靴です。

ワックスで磨いた時の様なギラっとした強い光沢ではありませんが自然な光沢が出ています。
手入れ前の靴と比較してみると違いは一目瞭然です。

油性クリームなのでワックスを使わなくてもある程度の光沢が出てくれます。

油分が多い油性クリームだからこそなせる技だね!
靴クリームを塗る事で栄養補給及び充分な艶が出ているのでここで靴磨きが完了でもOKです。
更に光沢を出したい場合は「ワックス」を使用して磨く事でさらに艶を出す事もできます。
油性クリームのアーティストパレットは上で紹介した通り『蝋分が多く含まれている靴クリーム』なので、ワックスを使用しなくてもこの靴クリームだけを使用して鏡面磨きに仕上げる事もできます。

この磨き方がアーティストパレットのみを使用して磨くテクニックなので名前をとって『パレットシャイン』と呼ばれています。
パレットシャインのやり方や必要な道具などについてはこちらのブログで詳しく紹介しておりますので併せてご覧ください。
今回紹介した方法で手入れを行うと作業時間は10分~15分程度で終わります。
なので次のような方におすすめの手入れ方法と言えます。
- ワックスをかけてる時間がない
- 自然な光沢で充分
- できるだけ使う道具を減らしたい

アーティストパレットは中・上級者向けと紹介しましたが、私はむしろ色が乗りやすく光沢が簡単に出せるので初心者にこそアーティストパレットを使って欲しいと感じました。
アーティストパレットのデメリット

次にアーティストパレットを使用してみて気になったポイントを3点紹介させて頂きます。
- 1gあたりの単価が高い
- 容器の隅のクリームが取りづらい
- Amazonでの取り扱いがない
1gあたりの単価が高い
アーティストパレットの気になった点として靴クリームの1gあたりの単価が高いという点が挙げられます。

他の人気の靴クリームと比較してみました。
商品名 | アーティスト パレット | クレム1925 | THE CREAM | コレクションズ クリーム |
金額 + tax | ¥2,200 | ¥2,200 | ¥3,000 | ¥2,000 |
容量 | 35g | 75g | 75g | 85g |
1gあたり | ¥62.8 | ¥29.3 | ¥40 | ¥23.5 |
商品価格で比較するとどれも2,000円から3,000円と大きな違いはありません。
しかし、容量で比較してみると他の主流の靴クリームはどれも70g以上あるのに対し、アーティストパレットは容量が35gと他の靴クリームと比べて容量が少ない事がお分かり頂けると思います。

クレム1925の倍以上するんだね・・・
素晴らしいクリームであるのは間違いないのですが、クレム1925の倍の値段を出してまで購入するメリットがあるか判断が難しいところです。
容器の隅のクリームが取りづらい
アーティストパレットの特徴と言えば他のクリームにはない三角形の形をした容器です。

しかし、この容器の形状の影響で『三角形の隅に残ったクリームが非常に取り出しづらい』です。
容量が多い時にはさほど気にならなかったのですが、クリームの残量が減ってくると隅に残ったクリームが取り出し辛い事に気づきました。
自分はそこまで指が太い方ではないのですがそれでも隅に残ったクリームを取り出すのには苦労しました。

見た目はかっこいいのですが・・・。なぜ、クリームの容器は筒状のものが多いのか分かった気がしました。
Amazonでの取り扱いがない

アーティストパレットは「楽天市場」、「ヤフーショッピング」や大手百貨店の通販サイトなど様々なサイトから購入する事ができます。

昔は取り扱ってるところが少なくて苦労したけど今は取扱店が増えてきて入手するのが簡単になったよね。
コロンブスさんの企業努力が分かりますね。
ただし、気になる点が1つあります。
アーティストパレットはネット通販の最大手のAmazonでの取り扱いがありません。

本当だ!Amazonで検索してみたけどアーティストパレットが販売されてなかったよ!

Amazonのヘビーユーザーの自分からすると取り扱いがないのは本当に痛いです・・・
その他の靴クリームやワックス、ブラシ等の取り扱いはあるのでアーティストパレットを販売する為には別の基準が設けられているのかもしれません。
楽天市場等でも購入する事ができるので困る事はないのですが購入の選択肢を増やすという観点からAmazonでも取り扱われる日が来てほしいです。
まとめ
今回はコロンブスから販売されている『アーティストパレット』について紹介させて頂きました。
他のクリームと比べると価格が高い点が気になりますが、それを差し引いてもメリットがたくさんあるクリームだと言えます。

簡単に艶が出せ、クリームの色がのりやすく出会った時の衝撃は今でも覚えています。
以前に比べて取扱店が増えてきたので非常に入手しやすくなってきたのも嬉しいポイントです。
気になった方は是非、試してみて下さい。